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「今日も残業」と送り続けた俺→定時後の駅前のカフェで、妻に言えずにいたこと

  • 2026.10.31
ハウコレ

同僚にエレベーターで「今日早いな」と声をかけられた日、妻から届いたのは「今日、定時だったんだよね?」。打っては消した言い訳は、どれも送れませんでした。

駅前のカフェの壁際の席で、問題集を広げるのが定時後の決まりでした。妻に「今日も残業」と送ったあと、ここで2時間ほど過ごしてから帰っていました。そんな日が、もう3週間。その一行を妻に疑われる日が来るとは、思っていなかったのです。

受かってから話すつもりだった

俺が目指しているのは、去年落ちた資格試験です。去年は受けると妻に宣言し、勉強する日はごはんの時間を遅らせてもらっていました。結果は不合格。報告すると、妻は「また来年があるよ」と笑ってくれました。責める言葉がひとつもなかったことが、かえってこたえたのです。今年はやめると、妻には言っていました。

今年は受かってから伝えよう。そう決めたものの、帰りが遅くなる理由を考えたとき、口から出たのが「残業」でした。「急に忙しくなったの?」と聞かれて、「まあね」とだけ答えた日から、毎日同じ一行を送り続けていました。

帰るとすぐお風呂へ向かったのは、顔を合わせて話せば、嘘がほころびそうな気がしたからです。

エレベーターで言われた「今日早いな」

3週間目のその日、会社のエレベーターで同じ部署の同僚と一緒になりました。「今日早いな」と言われ、「ちょっと用事があって」とだけ返します。同僚の奥さんと妻が、先月のバーベキューで連絡先を交換していたことは、すっかり頭から抜けていました。

カフェに着いて、いつものように「今日も残業」と送信。「了解。無理しないでね」と返ってきたのを確かめて、問題集を開きました。

1時間と少したった頃、スマホが鳴ります。

「今日、定時だったんだよね?」

通知を開いた時点で、読んだことは妻に伝わってしまいます。しまった、と思うのと同時に、エレベーターで別れた同僚の顔が浮かびました。

送れなかった言い訳

「打ち合わせが長引いて」「急に別の用事が入って」

打ち込んでは消した言い訳は、どれも送れませんでした。3週間、同じ一行で嘘を重ねてきたのです。ここでまた別の言い訳を送れば、本当のことを話す機会はもう来ない気がしました。

問題集を閉じ、30分ほど迷った末に送ったのが「帰ったら話す」です。

受かってから、笑って打ち明けるつもりでした。けれど、これ以上妻を一人で悩ませるほうが、ずっとよくない。カフェを出て駅へ歩きながら、話す順番を何度も組み立て直しました。

そして...

玄関の鍵を開けると、廊下の先に妻が立っていました。先に口を開いたのは俺です。

「ごめん。残業じゃなかった」

かばんから受験票を出そうとした俺の手を止めて、妻は台所へ向かいます。

「先に、ごはんにしよう」

3週間ぶりに向かい合って食べたあと、参考書と、来月の試験の受験票を見せました。去年のことも、今年は受かってから話したかったことも、組み立てた順番どおりには言えませんでした。

妻は受験票をしばらく見てから、「残業じゃなかったなら、ごはん一緒に食べたかった」とだけ言いました。

次の日から、参考書はダイニングテーブルの上に置いています。試験までは、あと3週間。夕飯のあと、向かいの席の妻に問題を出してもらうのが、今の定時後の決まりです。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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