1. トップ
  2. エピソード
  3. 「今日も残業」と毎日送ってくる夫→同僚の奥さんから届いた「ご主人、今日は定時でしたよ」の一言

「今日も残業」と毎日送ってくる夫→同僚の奥さんから届いた「ご主人、今日は定時でしたよ」の一言

  • 2026.10.31
ハウコレ

伏せたスマホを何度も表に返しては、画面を確かめました。言い訳が届いたら、どう返せばいいのか。会社を出たあと、夫はどこへ向かっていたのでしょうか。

夫とのチャット画面をさかのぼると、同じ言葉ばかりが並んでいました。「今日も残業」。ここ3週間、夫から届くのは毎日この一行だけです。ある日、別の人から届いたメッセージで、その一行の見え方が変わりました。

決まって届く夫からの一行

「今日も残業」

通知が鳴るのは、決まって夫の会社の定時を少し過ぎた頃でした。こちらの返事もいつも同じで、「了解。無理しないでね」と打って送っていました。

3週間前までは、残業する日などほとんどありませんでした。「急に忙しくなったの?」と聞くと、夫は「まあね」と短く答えただけ。帰ってくると、ただいまもそこそこにお風呂へ向かってしまうのでした。

ラップをかけたおかずを冷蔵庫にしまうのが、すっかり習慣になっていました。もともと仕事の話をあまりしない人です。根掘り葉掘り聞くのも違う気がして、届く一行をそのまま受け取り続けていたのです。

保冷バッグを返すつもりが

その日、夫の同僚の奥さんにメッセージを送りました。先月の会社のバーベキューで知り合い、連絡先を交換していた人です。借りたままの保冷バッグを返したくて、都合のいい日を聞いたのでした。

「うちは毎日残業で、なかなか予定が読めなくてすみません」

そう書き添えると、少しして返信が届きます。

「ご主人、今日は定時でしたよ」

続けて、もう1通届きます。

「うちの人がエレベーターで一緒になったって言ってました」

画面を見つめたまま、夫とのチャットを開き直しました。「今日も残業」が届いたのは、ほんの1時間ほど前です。会社を出たあと、夫はどこへ向かったのか。誰かと会っているのか、それとも一人なのか。

奥さんには「そうだったんですね、ありがとうございます」とだけ返し、夫とのチャットに文字を打ち込みます。

「今日、定時だったんだよね?」

送信ボタンに触れる前に、一度だけ大きく息を吐きました。

すぐに読まれたのに

メッセージは、送ってすぐに読まれました。けれど、返信はなかなか届きません。テーブルに伏せたスマホを、何度も表に返しては画面を確かめました。冷蔵庫には、まだ手をつけていない2人分のおかずが入っています。

言い訳が届いたら、どう返そう。謝られたら、そのまま受け入れられるだろうか。

画面が光ったのは、それから30分ほどたった頃です。

「帰ったら話す」

残業だったとも、違うとも書いていない一行。何度読み返しても、それ以上のことは分かりませんでした。

そして...

玄関の鍵が回る音がしたのは、それから1時間近くたってからでした。廊下に出た私を見て、夫が先に口を開きます。

「ごめん。残業じゃなかった」

夫はそう言って、かばんを開けようとしました。夫の手を止めて、私は台所へ向かいます。

「先に、ごはんにしよう」

冷蔵庫の2人分のおかずを温め直し、3週間ぶりに向かい合って食べました。食べ終わるまで、2人とも理由には触れません。理由を聞くより先に、この時間を取り戻したかったのです。嘘をついてまで、夫が定時のあとに隠していたことは何だったのでしょうか。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ