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「手作りじゃないの」と親子遠足のおやつを笑ったママ友→バス酔いの帰り道、救ったお菓子

  • 2026.10.31
ハウコレ

幼稚園の門の前で、ママ友が私の手元のスーパーの袋をのぞき込みました。中に入っていたのは、息子と選んだ遠足のおやつ。ママ友が口にしたのは、ほんの短い言葉でした。その言葉は、遠足の日まで頭の片隅に残り続けました。

園の門の前で言われたこと

ママ友とは、子ども同士が同じ年中クラスで、年少の頃からお迎えのたびに立ち話をする仲でした。袋の中身は、グミと小袋のスナック、それにいつものレモンの飴。どれも親子遠足の3日前、お迎えのあとに園の向かいのスーパーで、息子が自分で選んだ市販のお菓子です。店を出て門の前を通りかかると、娘さんを遊ばせていたママ友と目が合いました。

「手作りじゃないの」

ママ友はそう言って、少しだけ笑いました。どういう意味なのか、表情からは読み取れませんでした。「うん、今回はこれで」とだけ返し、袋の口を折りたたみました。

帰り道、袋を抱えて歩く息子の横で、ママ友の言葉を何度も思い返していました。手作りのほうがよかったのだろうか。台所の棚にしまったクッキー型を思い浮かべてはみたものの、息子がうれしそうに選んだお菓子を入れ替える気にはなれませんでした。

通路の向こうから聞こえた声

親子遠足の当日は、園から親子でバスに乗り、大きな公園へ向かいました。お昼のあとのおやつの時間、ママ友はシートの上に手作りのクッキーが入った箱を広げていました。息子はグミを1つずつ友達に配っていて、私は少し離れたシートからそれを眺めていました。門の前でのことは、どちらも口にしないまま。

帰りのバスでは、通路を挟んだ隣の席にママ友と娘さんが座りました。走り出してしばらくすると、窓にもたれていた娘さんが小さな声で言いました。

「ママ、きもちわるい」

ママ友は足元の保冷バッグを開け、クッキーの箱を取り出しました。娘さんは首を横に振りました。ママ友が水筒を差し出しても、娘さんは口をつけようとしません。ママ友はバッグを何度も開け閉めしていました。

私は、息子のリュックの外ポケットに手を入れました。

個包装のレモンの飴

指先に触れたのは、個包装のレモンの飴でした。乗り物に弱い息子のために、出かけるときはいつも入れているものです。

「よかったら、これ」

通路越しに2つ差し出すと、ママ友は私の顔と飴を交互に見てから受け取り、小さく言いました。

「ありがとう」

包みを開けてもらった娘さんは、飴を口に入れ、窓の外を見ながらゆっくり転がしていました。しばらくして聞こえてきたのは、ママ友の肩に頭を預けた娘さんの寝息。ママ友はクッキーの箱を膝にのせたまま、園に着くまで窓の外を見ていました。

そして...

遠足から数日たったお迎えのとき、門の前でママ友に声をかけられました。

「この前はありがとう。あの時ね、」

そこまで言ったところで、園庭から娘さんが走ってきました。手を引かれたママ友は小さく手を振り、そのまま門を離れていきました。

次の行事でも、息子はきっとスーパーでおやつを選ぶのでしょう。手作りじゃないのと笑ったあの日と、飴を受け取ったあの帰り道。ママ友が言いかけた続きは、どちらの日につながっていたのでしょうか。

(30代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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