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【ルームツアー】モードな感性で描く、色と装飾のレイヤーで彩られた邸宅

  • 2026.10.26
Romain Ricard

レバノン出身のファッションデザイナー、イーライ・ミズラヒは、パリの拠点のインテリアをデザインスタジオ、ウクロニアに依頼するにあたり、ある構想を抱いていた。それは部屋ごとに鮮やかな色彩が弾ける、見たことのないような空間を立ち上げる試みだった。『エル・デコ』2026年10月号より。

Romain Ricard

イタリアの感性が集う壮麗なダイニング

ラグジュアリーとは、慣習から自由になり、自らの個性を大胆に表現すること。その哲学を体現しているのが、レバノン出身のデザイナー、イーライ・ミズラヒだ。ニューヨークを拠点とする彼は、ケンダル・ジェンナーやゼンデイヤらが愛用するセミクチュールドレスのブランド「モノ」で知られている。パリに拠点を構えるにあたり、以前から思い描いていた、顧客を迎え入れるパーソナルで大胆な空間をつくるという構想を実現することにした。

<写真>ペンダントライトはウクロニアが手掛けたムラーノガラス製。テーブルはレオナルド&マルツィア・ダイネッリによる「フィアム・イタリア」の“アラベスク”、チェアはピエール・ジャンヌレの“チャンディーガル”。プレルの生地を用いたクッションを合わせた。

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ヴィンテージの家具で楽しむビビッドなティータイム

モンソー公園からほど近い、かつて法律事務所だった物件を気に入ったミズラヒは、まず間仕切りを取り払い、より多くの光を取り込んだ。また、時を同じくしてジュリアン・セバンが主宰するデザインスタジオ、ウクロニアのテーブルをSNS で目にした彼は、瞬く間に心を奪われ、夜中に数通のメッセージを交わすことに。これをきっかけに、家具だけでなく、空間全体のプランをウクロニアが担うことになった。

<写真>プレルの生地をまとうヴィンテージの椅子とベンチが、ウクロニアによる銀箔仕上げのテーブルを囲む。植物モチーフのヴィンテージのブラケットライトとペンダントライト“フラワー”を組み合わせた。正面の壁にはエボニー・ラッセルの花器が並ぶ。

Romain Ricard

装飾のレイヤーがきらめくオスマン様式のリビング

「イーライは、6カ月ですべてを終えたいと考えていました。私たちは猛烈な勢いでその難題に挑みました」とセバンは笑う。

まず、各室のモールディングや高い天井、クラシックな寄木張りの床といったオスマン様式の意匠を丁寧に改修。伝統的な要素を現代的にアップデートし、意外性を添えた。

<写真>典型的なオスマン様式に装飾的なアプローチを重ねたリビング。ピンクのソファはウラジミール・ケーガンが1950年にデザインした“サーペンタイン”。青い磁器の花器と台座はエボニー・ラッセル。暖炉の上にナポレオン3世様式の時計と燭台を配した。

Romain Ricard

オレンジが躍動するドレッシングルーム

「この空間には私の世界観を反映し、ある種の反骨的表現で訪れる人を驚かせたいと思いました」とミズラヒ。ファッションとデザインを愛する彼は、家具のセレクトに加え、特にファブリック選びに深く関わった。

<写真>ファッションをこよなく愛するミズラヒに必要だったのは、何よりも遊び心に満ちたドレッシングルーム。その難題にウクロニアは鮮烈なオレンジで応えた。共鳴し合うスクリーン、カーテン、デイベッドの張り地は、すべて「プレル」の生地から選ばれた。

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古典と前衛が対話するピンクのライブラリー

セバンに紹介された、リヨンの老舗織物メーカー、「プレル」の卓越したベルベットやブロケードに魅了された彼が、カーテンやクッション、ソファを仕立てるためにオーダーした生地は、およそ700m にも及ぶ。ピエール・ジャンヌレのチェアにはポンポン付きのクッションを合わせ、カーテンにはサテンの巨大なリボンをあしらい、ヴィンテージソファは花柄で包み込んだ。

<写真>主役はクリスチャン・ペリッツァーリによる触手のようなアームのペンダントライトとヴァーナー・パントンが1969年にデザインした名作ソファ“クローバーリーフ”。「ノドゥス・エディションズ」のラグはネンドが手掛けた“ワンストローク 1/1”。

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ゴシックと交錯するシュールレアルな曲線美

また室内のカラーパレットについて、ウクロニアは繊細なグラデーションを構築した。パブリックなエリアからプライベートなエリアへと進むにつれて、ピンクとブルーの濃度が増してゆき、意外性と共にドラマチックな演出を生み出している。

<写真>ワインレッドの壁と大理石の床で設えたレストルーム。アーティストのニコラス・デヴリンによる、ペンダントライトとブラケットライト、ミラー、洗面台が連なり、ゴシック的なシュールレアリスムと工芸の間を漂う世界観が、この小宇宙を支配する。

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漆黒で仕上げた妖艶なシアタールーム

<写真>アトリエ・ローマによる黒いラッカー仕上げの壁が、シアタールームを闇で包み込む。天井から吊り下げられたのはジュリアン・シュナーベルが制作した光のインスタレーション。壁面に飾られたヴァシリー・クリューキンの彫刻作品と呼応している。

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レモンイエローで彩られた小さなティーコーナー

随所を彩るアートにはミズラヒのコレクションから、ジュリアン・シュナーベルのインスタレーションやヴァシリー・クリューキンの彫刻作品などを選定した。

<写真>廊下の奥に隠されたメインのキッチンを補完する一角。ブルーマーブルの造作家具にシンクを組み込んだ。水栓金具は「THG」。壁に飾られているのはブリス・ギルベールの作品。ブラケットライトはエリザベス・ガルーストの“セラミック・チューリップ”。

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波打つグリーンが描き出す幻想的なバスタイム

アートと色彩、そしてデコレーション。オーナー自身の美意識が忠実に体現された、情熱的な個性が際立つアパルトマンが完成した。

<写真>「ドラモンズ」の猫脚付きバスタブを中心に、19世紀にフランソワ・リンケが手掛けたルイ15世様式のライティングデスクとチェストを組み合わせた浴室。ミラー“ピーナツ”が大理石の洗面台を見下ろす。いずれもウクロニアによるデザイン。

Realization:CLÈMENCE LEBOULANGER Photo:ROMAIN RICARD Original Text:JEAN-CHRISTOPHE CAMUSET

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『エル・デコ』2026年10月号

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