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「化粧濃すぎ」の一言しか送れなかった俺。彼女から届いた素顔の写真に写っていたもの

  • 2026.10.29
ハウコレ

SNSに上がった飲み会の写真を、指で広げて見ていました。同僚に囲まれて笑う彼女の、明るく塗られた目元。笑顔はいつもどおりなのに、そこだけが写真の中で少し浮いて見えました。

まっすぐ聞いて、終わった会話

付き合って2年になる彼女とは、住んでいる街が離れています。顔を合わせるのは月に2回ほど。それ以外の時間は、メッセージだけが頼りでした。

彼女の部署が変わってから、仕事終わりの連絡が届くのは少しずつ遅くなっていきました。送られてくる写真のメイクも、以前よりしっかりしたものに変わっていきます。

1度だけ、思い切って「最近疲れてない?」と送ったことがあります。返ってきたのは「全然!元気だよ」。そう言われてしまうと、それ以上は聞けませんでした。しつこく聞いて、うっとうしいと思われるのが怖かったんです。

冗談なら聞ける気がしていた

そこから選んだのは、冗談めかすことでした。リップの写真には「濃くない?」、SNSの写真には「化粧濃すぎ」。そう送れば、「疲れてるの隠してるんだよ」と笑って返してくれるかもしれない。そんな都合のいい期待をしていました。

実際に届くのは既読だけ。それでも、ほかの言い方を探そうとはしませんでした。まっすぐ聞いてまた「元気だよ」と返されるより、冗談のまま流される方が楽だったからです。言われる側がどう感じるかを、ちゃんと考えていませんでした。

飲み会の写真に「化粧濃すぎ」と送ったのも、いつもと同じ軽い気持ちでした。

素顔の写真に写っていたもの

返ってきたのは、メイクを落とした彼女の自撮りと「これで満足?」という一言。

写真の目の下には、くっきりとくまが浮かんでいました。重ねたメイクの下にあったのは、これだったのか。怒らせたことよりも先に、彼女の体のことが頭に浮かびました。

入力欄に「ごめん」と打っては消し、長い文章を書いては消して。結局送ったのは「うん、その顔の方がいい」と「明日、仕事休めない?」の2通だけでした。

「急に何?休めるわけないじゃん」

その返事を読んで、ようやく気づきました。理由を一度も伝えていないのだから、彼女に分かるはずがありません。「そっか。ごめん、おやすみ」と送るのが精一杯でした。

そして...

謝罪と心配をまとめた長い文章は、結局送りませんでした。冗談に包まずに伝えるなら、画面越しではなく顔を見て言いたかったからです。

次に会えた日、駅前のカフェで向かい合って、ようやく切り出しました。

「化粧のこと、ずっと嫌な言い方してごめん。本当は、疲れてないか聞きたかった」

彼女はカップを両手で持ったまま、しばらく黙っていました。

「それなら、最初からそう言ってよ」

「うん。言えなかった」

少し間を置いて、彼女はカップをテーブルに戻しました。

「最近ちょっと、寝不足かも」

前に聞いたときとは違う本音を聞けた気がしました。

帰りの電車で、彼女から「今日は早めに寝る」とメッセージが届きました。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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