1. トップ
  2. エピソード
  3. 彼が私とのトークをスクショして母親に送っていた→電車で届いた「ありがとう」に、駅を乗り過ごした私

彼が私とのトークをスクショして母親に送っていた→電車で届いた「ありがとう」に、駅を乗り過ごした私

  • 2026.10.29
ハウコレ

「勝手にごめん」と謝る彼に、送った理由を尋ねました。返ってきたのは短い答えだけ。彼の気持ちはなんとなく見えても、彼のお母さんの「ありがとう」の意味は分からないままでした。

電車の吊り革につかまったまま、スマホの通知をひらきました。表示されていたのは、登録したきり一度もやりとりのなかった名前。お正月に一度会ったきりの、彼のお母さんからのメッセージでした。

彼に持たされた筑前煮

付き合って2年になる彼の部屋には、実家から定期的に段ボールが届きます。中身はお母さんの手料理と、決まって1枚の手紙。数日前に遊びに行ったとき、彼が届いたばかりの筑前煮を保存容器に分けて持たせてくれました。

家で温め直した一口目で、思わず彼にメッセージを送っていました。

「お母さんの筑前煮、味がしみてて本当においしかった!」

彼からは、そっけない返事が来ました。

「そう?普通じゃない?」

「普通じゃないよ。箱に毎回手紙も入ってるんでしょ?ちゃんと返事してる?」

私がそう返すと、彼の答えはこれだけでした。

「届いたとは送ってる」

「それだけ?おいしかったって一言くらい言ってあげなよ」

そう送ると、返ってきたのは、うなずくクマのスタンプが1つ。人の家のことに口を出しすぎたかなと思いながら、空になった容器を洗いました。

お母さんから届いた2通のメッセージ

お母さんからのメッセージは、2通だけでした。

「突然ごめんなさいね。息子から、あなたとのやりとりの画像が届きました」

「ありがとう」

やりとりの画像。そう読んで浮かんだのは、筑前煮の会話です。彼とのトークを、そのままお母さんに見せたということでしょうか。

あの画面には「おいしかった」のあとに、「ちゃんと返事してる?」「それだけ?」と、彼を責めるような言葉も並んでいました。お母さんから見れば、息子の彼女が家のことに口を出している場面です。

その下の「ありがとう」は、お礼なのか、やんわりとした注意なのか。考えているうちに、降りる駅を1つ乗り過ごしていました。

「筑前煮のとこ」と返してきた彼

折り返しの電車を待つホームのベンチで、彼にメッセージを送りました。

「お母さんに私とのトーク送った?」

既読はすぐにつき、彼から2通届きました。

「送った。筑前煮のとこ」

「勝手にごめん」

「なんで送ったの?」

そう聞き返すと、今度は返信までしばらく間がありました。彼は今頃、どう書こうか迷っているのだろうか。

「俺が言うより伝わると思った」

説明はそれだけでした。責めるつもりで書いた言葉ではありませんでした。それでも、あの画面がお母さんの手元にあると思うと、どんな気持ちで読まれたのかが気になって仕方ありませんでした。

そして...

お母さんには、家に帰ってから何度か書き直して返信しました。

「こちらこそ、いつもおすそ分けいただいてありがとうございます」

少ししてお母さんから届いたのは、頭を下げる猫のスタンプでした。

彼が送った理由は、なんとなく分かった気がします。けれど、筑前煮を食べておいしいと言っただけの私に、お母さんはどうしてお礼を言ったのか。洗って水切りかごに伏せた容器を見るたびに、あの一行が浮かんできました。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ