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7年間、荷物の返事は「届いた」だけだった息子。送られてきた1枚の画像と「筑前煮、うまかった」

  • 2026.10.28
ハウコレ

画像の下には、息子からの短い一行が続いていました。何年も待っていたその言葉を読み返すうちに、お礼を伝えたい相手は息子ではないと気づいたのです。

今回も、段ボールの底に筑前煮の容器を並べ、いつものように便箋を1枚のせました。書き出しにこれほど迷ったのは、初めてのことです。「もう要らなかったら、遠慮なく言ってね」。そう書き足しました。

7年分の「届いた」

息子が就職で家を出て、7年が経っていました。季節が変わるたびに手料理を詰めて送ってきましたが、返ってくるメッセージは決まっていました。

「届いた」

それ以上は何も続きませんでした。手紙に何を書いても、返事がきたことはありません。冷蔵庫の奥で古くなっていく煮物を想像しては、詰める量を少しずつ減らしてきたのです。

今回の荷物にも、数日後にやはり「届いた」とだけ返ってきました。

息子から送られてきた1枚の画像

しばらくして、息子から画像が1枚届きました。息子と誰かのやりとりを写したものです。

「お母さんの筑前煮、味がしみてて本当においしかった!」

相手は、一度だけ家に連れてきた彼女さんでした。続きには「普通じゃないよ。箱に毎回手紙も入ってるんでしょ?ちゃんと返事してる?」とあります。

手紙のことを、息子は彼女さんに話していた。読まずに捨てられていると思っていた便箋は、少なくとも開かれていたのです。

画像の下に、息子の言葉が2通続きました。

「これ、彼女とのやりとり」

「筑前煮、うまかった」

画像の最後は、彼女さんの「それだけ?おいしかったって一言くらい言ってあげなよ」と、息子が返したうなずくクマのスタンプ。息子の「うまかった」は、その一言に押されて届いたのです。何度も読み返しました。

長い文を消して送った「ありがとう」

彼女さんとは、お正月に連絡先を交換したきりでした。お礼を伝えたくて、私は長い文を打ちました。息子が小さいころ筑前煮のにんじんだけ残していたこと、手紙のこと、「届いた」だけの7年のこと。

1度会っただけの相手には重すぎて、全部消し、2通だけを残しました。

「突然ごめんなさいね。息子から、あなたとのやりとりの画像が届きました」

「ありがとう」

お礼を言いたかったのは、筑前煮をほめてもらったことだけではありません。彼女さんのあの言葉がなければ、息子の「うまかった」は私まで届かなかったはずです。

少しして彼女さんから返信がありました。

「こちらこそ、いつもおすそ分けいただいてありがとうございます」

丁寧な文面を読んで、何へのお礼なのかを一つも書いていなかったことに気づきました。今頃、困らせているのではないだろうか。迷った末に、頭を下げる猫のスタンプを1つだけ送りました。

そして...

次に送った荷物には、筑前煮の作り方を書いたカードを1枚足しました。宛名には迷って、息子の名前だけを書きました。

数日後、息子から届いたのは、やはり「届いた」でした。その下に、もう1通。

「レシピ、渡しといた」

その週末、彼女さんから写真が届きました。レシピどおりに作ったという筑前煮と、空になった息子の皿。にんじんまで、きれいになくなっていました。

7年待った「届いた」の続きは、まだ1度しか会っていない彼女さんが運んでくれました。

(50代女性・パート)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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