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息子と別れた彼女へ、私が毎年年賀状を書いていた本当の理由

  • 2026.10.28
ハウコレ

息子にも言わずに、毎年1枚だけ出してきた年賀状。秋に届いた報告はがきを見て、今年で最後にしようと決めた私のもとに、思いがけない返事が届きます。

筆ペンのキャップを開けては閉め、書き損じたはがきをテーブルの端に3枚重ねました。宛名はとうに書き終えているのに、裏に添える一言だけが決まりません。相手は、5年前に息子と別れた女性でした。

台所のテーブルで聞いた話

息子が初めて彼女を家に連れてきたのは、付き合って最初のお正月です。台所のテーブルで、届いた年賀状を家族ごとに分けていると、彼女が手伝ってくれました。自分の分の束がないのを見て、彼女は笑いました。

「私宛ての年賀状って、毎年ほとんど来ないんですよ」

あとで息子から、彼女の両親は温泉旅館で働いていて、年末年始は両親が働きづめだと聞きました。お正月は毎年ひとりで過ごしてきたそうです。明るく言われた分だけ、その話は私の中に長く残りました。

息子には言わずに出し続けた

転勤が決まった春、息子がメッセージで彼女に別れを告げたと聞きました。理由を聞きたい気持ちはありましたが、2人のことに口を出せる立場ではありません。

次のお正月が近づいたころ、彼女の郵便受けのことを考えました。今年は、誰からも届かないのかもしれない。せめて元日に1枚は届くようにと、年賀はがきを買いました。

息子の名前は書かないと決めていました。添えたのは、寒い時期の体を案じる短い言葉だけ。出していることは、息子にも言いませんでした。

彼女からは毎年、印刷の挨拶に一言だけ手書きを添えた返事が届きました。それを1枚ずつしまってきたのが、お菓子の缶です。

この秋には、新しい名字と引っ越し先の住所が印刷された、結婚の報告はがきが届きました。

「最後」と書けなかった一言

結婚した人のもとへ、昔の恋人の母親から年賀状が届き続けるのは、負担かもしれません。今年で最後にしようと決めていました。

それでも、はがきに「最後」とは書けませんでした。書けば、彼女に返事の気づかいをさせてしまう気がしたからです。ようやく書けた一言がこれでした。

「もう、お正月にひとりじゃないわね」

嫌味に読まれないか、ポストの前でもう一度迷いました。投函口にはがきを落としたのは、買い物袋を持ち直してからです。

そして...

年が明けて数日後、彼女から返事が届きました。印刷の挨拶の下に、いつもより長い手書きの文が続いていました。お礼と、ご主人のこと。最後の一言を読んで、はがきを持ったまま台所の椅子に腰を下ろしました。

「来年も、出してもいいですか」

缶の中の返事は、これで5枚。来年どうするかは決めないまま、ふたを閉めずに缶を棚へ戻しました。

(60代女性・パート)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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