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「申し訳ございませんでした」お客さんとの世間話を続けていたベテラン店員。だが、無表情の女性客に頭を下げた理由

  • 2026.10.26

おしゃべりの止まらないレジ

夕方のスーパーは仕事帰りの人で混み合い、どのレジにも列ができていました。

私が並んだのは、いつも愛想のいいベテラン店員が担当するレジです。

お客さんとも顔なじみのようで、会計中に世間話をしている姿をよく見かけていました。

その日も店員は、私の前にいる女性客の商品をレジに通しながら、周りのお客さんに笑顔を向けていました。

隣のレジに並ぶ年配の女性から声をかけられると、手を動かしたまま顔をそちらに向けます。

「あら、今日はお孫さんと一緒じゃないの?」

「そうなのよ。今日はひとりで来たの」

そんな会話を交わしながら、店員はレジを打ち続けていました。

一方、会計中の女性客は、私より少し若く見える人でした。

店員がおしゃべりをしていても何も言わず、じっとその手元を見ています。

表情もほとんど変わりません。私は、ずいぶん静かな人だなと思っていました。

やがてすべての商品を通し終えると、店員は女性客に向き直り、いつもの笑顔で合計金額を告げました。

女性客が静かに指摘した2つの間違い

すると、それまで黙っていた女性客が口を開きました。

「すみません。このお豆腐、さっきも打っていましたよね?」

店員が一瞬、手を止めます。

女性客は落ち着いた声で続けました。

「あと、このパンなんですけど。割引のシールがついていますよね。金額、変わっていませんよね?」

店員は慌ててレジの画面を確認しました。どうやら、豆腐を二重に計上し、パンの割引も反映できていなかったようです。

「あら、ごめんなさいね。私ったら、うっかりして」

店員は照れたように笑いました。

ところが、女性客は笑い返しませんでした。

「間違いは直していただければいいんですけど……。おしゃべりしながらだと、こういうことが起きませんか?」

店員の笑顔が消えました。

「さきほどから、ずっとそうですよね?」

女性客の声は、少しも大きくなりません。

怒鳴るわけでもなく、ただ目の前で起きたことを静かに指摘しているのです。

店員はすっかり動揺した様子で、女性客に深く頭を下げました。そして後ろに並ぶ私たちにも向き直りました。

「申し訳ございませんでした」

先ほどまでの明るい声とは、まるで違っていました。

そのあと、レジからおしゃべりが消えた

店員が会計を修正すると、女性客はそれ以上何も言わずに支払いを済ませました。

そして袋詰めを終えると、何事もなかったように店を出ていきました。

ようやく私の番です。

「お待たせして申し訳ありません」

店員は小さな声でそう言うと、私の商品を一つずつ丁寧にレジへ通していきました。

先ほどまであれほど楽しそうに話していたのに、もう周りのお客さんに声をかけることはありません。

私が袋詰めの台から振り返ると、店員は次のお客さんにも、その次のお客さんにも、頭を下げてから会計を始めていました。

もちろん、店員に悪気があったわけではないのでしょう。お客さんとの会話を大切にしていたのかもしれません。

ただ、実際に会計の間違いが起きていた以上、女性客の指摘はもっともなことでした。

それにしても、あの女性客はよく見ていたものです。

声を荒らげることもなく、必要なことだけを伝えた女性客。その静かな声と、店員の表情が変わった瞬間は、今でも忘れられません。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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