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秋の美しい金沢へ。感性を刺激する美術館と注目のアートイベント案内

  • 2026.10.25
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※2020年初出『リシェス』No.34に掲載されたアーカイブ記事を再編集して公開します。

芸術の秋に旅したい街、金沢。江戸時代に百万石を誇り、芸術を奨励した加賀藩前田家は、全国から優秀な職人を集め、この地にクリエイティブな意識を根付かせました。その美意識を現代まで継承、発展させていることもあり、金沢には個性的な美術館が街なかに点在しています。代表格「金沢21世紀美術館」は来春から1年弱、メンテナンス休館。その期間に特別開催される「金沢まちなか芸術祭」の情報ほか、各館の今秋の展覧会や見逃せないモダン工芸のアートイベントもご紹介します。

【金沢21世紀美術館】金沢を代表する、市民に開かれた革新の美術館

円形の建物は、街と一体になるためのデザイン。 Watanabe Osamu, Courtesy:21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa

2004年開館の現代アートを収蔵した金沢市立の美術館。「新しい文化の創造」と「新たなまちの賑わいの創出」を目的に開設されました。建築は妹島和世と西沢立衛(SANAA)。世界からの観光客はもちろん、市民の憩いの場でもあります。2025年4月より、開館前から同館にキュレーターとして携わり、十和田市現代美術館館長を経て帰還した鷲田めるろさんが館長を務めています。恒久展示作品はレアンドロ・エルリッヒ「スイミング・プール」を筆頭に、ヤン・ファーブル「雲を測る男」、パトリック・ブラン「緑の橋」など。

Leandro ERLICH, "The Swimming Pool", 2004 Watanabe Osamu, Courtesy:21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa
Jan FABRE, "The Man Who Measures the Clouds", 1998(C)Angelos bvba Nakamichi Atsushi/Nacása & Partners, Collection Courtesy:21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa

老朽化や能登半島地震の影響もあり、2027年5月6日から2028年3月頃まで大規模修繕のため長期休館予定。その期間には美術館所蔵のコレクション作品などを、金沢の中心地で公開する「金沢まちなか芸術祭」を開催。香林坊の歴史ある建築、日本銀行金沢支店跡地をメイン会場に、季節ごとにエリアを分けて公開されます。今秋は各種プレイベントを予定しています。休館を前に同館の現在地を見つめ、作品を未来へ継承することの意味を問い直す展覧会「今日から明日へ 作品を継承すること」(10月31日~2027年4月18日)を開催。本展はエルメスジャポンと協働しています。

Patrick BLANC, "Green Bridge", 2004 「今日から明日へ 作品を継承すること」展では、本作品をはじめとするコミッションワークを、どのように未来へ継承できるのかを考えます。 NAKAMICHI Atsushi/Nacása & Partners Courtesy:21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa

問い合わせ先
「金沢21世紀美術館」
所在地/石川県金沢市広坂1-2-1
休館日/月曜日、年末年始
※月曜日が祝日の場合は翌平日
TEL/076-220-2800
URL/www.kanazawa21.jp

【国立工芸館】新旧の工芸を、豊かな自然とともに堪能

「国立工芸館」の外観。 Takumi Ota

日本海側初の国立美術館として、2020年東京・北の丸から工芸の街、金沢に移転オープン。明治期建築で国登録有形文化財の、旧陸軍第九師団司令部庁舎と旧陸軍金沢偕行社を移築復元。複数の文化施設が集まる「兼六園周辺文化の森」に位置し、豊かな自然のなか散策を楽しめます。2027年1月11日(月・祝)まで土・日・祝日限定で、金沢駅西口から無料直行バスも運行されています。

金子潤 《Untitled(13-09-04)》展示のエントランス。東京国立近代美術館蔵 Takumi Ota

「デザイン・クロニクル展 なにが生まれて、なにが変わった?」(2026年10月9日~2027年1月11日)では、工芸から派生したデザインという新しいものづくりの考え方を紐解きます。アーツ&クラフツ運動からアール・ヌーヴォーとアール・デコ、バウハウスに代表されるモダニズム・デザイン、そして第二次大戦後の展開まで、100年近くのデザインの系譜を辿ります。

トム・ディクソン《鉄塔の椅子》1994年 国立工芸館蔵 「デザイン・クロニクル展 なにが生まれて、なにが変わった?」の展示作品。 S&T PHOTO

問い合わせ先
「国立工芸館」
所在地/石川県金沢市出羽町3-2
休館日/月曜日、年末年始
※祝日の場合は翌平日
TEL/050-5541-8600(ハローダイヤル)
URL/www.momat.go.jp/craft-museum

【石川県立美術館】アートを愛する石川の作品から新しい発見の喜びを

「兼六園周辺文化の森」に位置する「石川県立美術館」。 KANAZAWA CITY

1959年開館の「石川県美術館」を前身に、1983年にオープンした「石川県立美術館」。石川県における美術工芸の伝統をふまえ、豊かな美術文化の創造と推進をはかることを目指し、日本画から伝統工芸まで同県に縁のある作品を中心に展示しています。館内には能登出身の辻口博啓パティシエがプロデュースするカフェ「ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA」を併設。周辺の緑を愛でながら、アートのようなスイーツを満喫できます。

展覧会とコラボレーションした限定スイーツも提供。画像は「蓮田修吾郎ー世界を拓く窓」(~10月25日)での、能登ブルーベリーなど地元食材を使ったコラボスイーツ。 Hearst Owned

今秋は同館コレクションからの特別展示「没後40年 高光一也」(2026年10月30日~12月7日)を開催。現・金沢美術工芸大学の創設に参加するなど、石川の美術界を牽引した画家、高光一也の代名詞は、みずみずしく、健康美に満ちた女性を描いた洋画。欧州への留学、取材滞在をもとにした異国情緒溢れる華麗な色彩の女性像を楽しめます。

館内のモダンなカフェ「ル ミュゼ ドゥ アッシュ KANAZAWA」。 Hearst Owned

問い合わせ先
「石川県立美術館」
所在地/石川県金沢市出羽町2-1
休館日/展示替え期間、年末年始
TEL/076-231-7580
URL/www.ishibi.pref.ishikawa.jp

【金沢市立中村記念美術館】金沢に息づく茶道文化を彩る美術品を一堂に

金沢で酒造業を営み、茶人でもあった中村栄俊が創立した「中村記念館」を前身に、収集した美術品を金沢市に寄贈し、1975年に開館。茶道具はもとより、書跡、古九谷、加賀蒔絵など中村氏収集の名品を核に、重要文化財など1300点余を収蔵。金沢らしい茶道文化の侘び寂びが感じられます。本館には日本庭園を望む喫茶室も併設され、抹茶と菓子で落ち着いたひとときを過ごすことができます。

「金沢市立中村記念美術館」の本館。 KANAZAWA NAKAMURA MEMORIAL MUSEUM
庭園越しの付属施設「茶室 耕雲庵」。 KANAZAWA NAKAMURA MEMORIAL MUSEUM

開館60周年記念特別展「金沢ゆかりの茶道具~江戸から現代へ~」(2026年10月10日~12月6日)では、前田家伝来の茶道具をはじめ、金沢で育まれた大樋焼や寒雉釜、現代作家の茶道具を展示。金沢の茶道文化の広がりを学ぶことができます。

問い合わせ先
「金沢市立中村記念美術館」
所在地/石川県金沢市本多町3-2-29
休館日/月曜日
※祝休日の場合は翌平日
TEL/076-221-0751
URL/www.kanazawa-museum.jp/nakamura/index.html

工芸王国、金沢ならではの新しい工芸=KOGEIのイベントにも注目

毎年秋から冬にかけて、金沢では工芸イベントが数多く開催されます。若手作家の美意識がほとばしる現代アート作品を中心に、新しい工芸に出合えます。

「GO FOR KOGEI DIALOGUES/APERTO」

髙橋稜《There is one …… in the pocket. 》2026年 今年LVMH メティエ ダール パリで開催された特別展にも参加した髙橋稜。金沢での本プロジェクト参加予定。 RYO TAKAHASHI

北陸発の新たな工芸の発信として2020年から開催され、人気を博している「GO FOR KOGEI」。2024年からはフランスほか世界へ展開し、現在イタリア・ヴェネツィアでエキシビションを開催中。今秋、イタリアでの試みを北陸で深めるべく、対話と実験の場を設け、金沢を舞台に各種プロジェクトが行われます。

【GO FOR KOGEI DIALOGUES/APERTO】
会期/2026年10月31日(土)~11月29日(日)うち11日間開催
URL/goforkogei.com

「KOGEI Art Fair Kanazawa」

日本の現代美術界を牽引する「小山登美夫ギャラリー」も参加。小出ナオキ《まっちゅっちょピッ》2025【小山登美夫ギャラリー】 Kenji Takahashi

工芸の新しい美意識や価値観を世界に発信する、国内唯一の工芸に特化したアートフェア。「ハイアット セントリック 金沢」を会場に、石川県のギャラリーのみならず、東京の「小山登美夫ギャラリー」や「しぶや黑田陶苑」ほか総勢49ギャラリーが集結。今回で10回目を迎え、気鋭の若手から世界で活躍するアーティストまで、クリエイティビティ溢れる作品が展示販売されます。

金沢の漆芸家の作品。五月女晴佳《縛(SHIBARI)#2》【Art+Craft Gallery蚕室】 HARUKA SAOTOME

【KOGEI Art Fair Kanazawa】
会期/2026年11月27日(金)~11月29日(日)
会場/ハイアット セントリック 金沢
URL/kogei-artfair.jp

初出:リシェスNo.34 2020年11月27日発売
SPECIAL THANKS:TOURISM POLICY SECTION CITY OF KANAZAWA, KANAZAWA CITY TOURISM ASSOCIATION

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