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「あとで部屋で食べるのよ!」パンを袋に詰め込んだ女性客。だが、娘の言葉に黙って引き返した瞬間

  • 2026.10.25
「あとで部屋で食べるのよ!」パンを袋に詰め込んだ女性客。だが、娘の言葉に黙って引き返した瞬間

テーブルいっぱいに広げられたポリ袋

1年ほど前、旅行先のホテルで朝食を取ったときのことです。会場は朝から混雑し、入口には順番を待つ人が並んでいました。私も料理を取る列に加わり、少しずつ前へ進んでいました。

そのとき、近くのテーブルにいた中年の女性客が目に入りました。

テーブルの上にはポリ袋。女性は料理台と席を何度も往復し、個包装のジャムやバター、スティックシュガーをつかんでは袋へ入れています。

さらにパンの台へ移ると、クロワッサンやロールパンまでトングでつかみ、そのまま袋に詰め始めました。

朝食を取り分けているというより、持ち帰るために集めているように見えました。

「えっ、あれ全部持っていくのか」

列で私の後ろにいた年配の男性が、驚いたようにつぶやきました。近くの客も、何度か女性の方へ視線を向けています。

そこへ若い女性スタッフが来て、声をかけました。

「お客様、申し訳ありません。お料理のお持ち帰りはご遠慮いただいているんです」

女性客は袋の口をつかんだまま、声を強めました。

「朝食代払ってるんだから、あとで部屋で食べるのよ!」

「すみません。衛生上の理由で、お部屋にもお持ちいただけない決まりでして……」

「食べる時間くらい、私が決めていいでしょ。もういいわよ」

女性は膨らんだ袋を抱え、出口へ歩き始めました。私はどうなるのかと目で追っていました。

出入口で鉢合わせた、遅れて来た娘

ちょうどそのとき、出入口から若い女性が入ってきました。朝食に遅れてやって来た、女性客の娘のようです。

二人は出入口で顔を合わせました。

「あれ、お母さん。もう食べたの?」

娘は母親が抱える袋を見て、表情を変えました。そして、出入口の横にある掲示を指さしました。

「ちょっと、それ……持って帰るの?入口に、部屋への持ち帰りはできないって書いてあったよ。昨日の夜、私も見たよ」

女性客は足を止めました。さっきまでの強い口調とは違い、何も言い返しません。

「お母さん、やめてよ。恥ずかしいから、返してきて」

娘の声に、女性客は顔を赤くし、袋を抱え直しました。入口の外で待つ人たちの視線を受けながら、黙って向きを変えました。

私のいる列の横を通り、パンの台の方へ戻っていきます。女性客はそこにいたスタッフに袋を差し出しました。

「お預かりいたします」

スタッフは丁寧に受け取り、軽く頭を下げました。出入口の娘も、こちらへ申し訳なさそうに頭を下げています。

私はようやく自分の朝食に意識を戻し、温かいコーヒーを取りに行きました。

強い口調で言い返していた女性が、娘の前では何も言わずに引き返した姿が、妙に印象に残っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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