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「別れたい」と送ってきた彼女に、俺が言葉ではなく丸のスタンプを返したわけ

  • 2026.10.26
ハウコレ

2年前に買って、一度も使わずにいたスタンプがあります。初めて送ったのは、彼女が別れを切り出した日でした。

その日、転勤先のワンルームで、通知音が続けて2回鳴りました。開いた画面には、彼女からの長い文章が並んでいます。俺が返信欄に打った言葉は、どれも送る前に消すことになりました。

打っては送れなかった返信

彼女とは付き合って2年。最後の1年は、俺の転勤で遠距離になっていました。転勤の話を受けたのは俺自身です。仕事に慣れるだけで手いっぱいで、電話はいつも「また今度ゆっくり話そう」で切っていました。

彼女の長い文章の最後と、その次の1通には、こう書いてありました。

「会えないのが寂しいって言うのも、もう疲れちゃった」

「別れたい」

読んですぐ、返信欄に「次の休みにそっちへ行くから、話そう」と打ちました。それを消して「転勤、断ればよかった」と打ち直し、それも送れませんでした。離れる道を選んだのは俺のほうなのに、待っていてほしいと書くのは都合がよすぎる気がしたのです。本当は、引き止めて断られるのが怖かっただけかもしれません。

あの日もらった丸を返す

付き合う前、2回目のデートの帰りに、俺はメッセージで気持ちを伝えました。

「ちゃんと言いたくて。付き合ってほしい」

彼女から返ってきたのは、白いうさぎが両腕で大きな丸を作って笑っているスタンプだけ。うれしくて、同じスタンプのセットをすぐに買いました。けれど、あのうさぎは彼女の返事のように思えて、一度も使えずにいたのです。

あの「別れたい」に言葉で返せば、何を書いても言い訳か、すがる文章になる。それなら、あの日もらった丸を、今度は俺から返そうと決めました。彼女が決めたことに、丸をつける。それが、俺に出せるただ1つの返事でした。

スタンプを送ってしばらくすると、彼女から返信が届きました。

「真剣に話してるのに、ふざけてるの?」

伝わっていないことは、すぐに分かりました。説明を途中まで打ちましたが、送信はしないまま。説明すれば、考え直す重さを彼女に渡してしまう。そう理由をつけて、短い一行だけを返しました。

「ふざけてない。元気でね」

彼女からの返信は、それきり届きませんでした。

1年後に届いた一通

スマホに彼女の名前が浮かんだのは、それから1年がたった頃です。届いたメッセージは、こうでした。

「1年前のスタンプの意味、やっと分かった。ふざけてるなんて言ってごめんね」

どうやって気づいたのかは、書かれていませんでした。昔のやりとりをさかのぼったのだろうか。謝るのは俺のほうだと打ちかけて、やめました。代わりに、こう送りました。

「気づいてもらえただけで十分。ありがとう」

そして...

送ってから、十分だと書いたのは半分だけ本当だったと思いました。あの日、丸の横に一言でも添えていれば、彼女を1年も怒らせずに済んだはずです。

2年前、彼女は丸1つで俺の告白を受け入れてくれました。だから俺も、丸1つで彼女の決めたことを受け入れたかったのです。

彼女からの返信は、その後届いていません。それでも、丸1つの意味が1年越しに届いたのなら、あの一度きりで十分です。2年前に買ったスタンプは、もらった「はい」を返すためだけにあったのだと、今は思えます。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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