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「泣かせたら許さない」親友の婚約者を怖がらせた、俺の言葉足らずな一行とは。

  • 2026.10.25
ハウコレ

幼なじみのあいつの婚約者に送った「泣かせたら許さない」の上には、送らずに消した長い下書きがありました。

婚約の知らせから数日後の夜、俺は転勤先の部屋で、スマホに長い文章を打っていました。書いては削り、また削る。送信したとき、挨拶とお祝いの下に残っていたのは、短い一行だけでした。

削っていった下書き

あいつとは小学校からの付き合いです。婚約の報告を電話で受けたとき、相手の連絡先を教えてほしいと頼んだのは俺でした。

下書きには、あいつが大事なことほど口に出さないこと、黙り込んだら放っておかずに聞いてやってほしいことまで書いていました。けれど、会ったこともない人に、あいつの欠点から伝えるのは出しゃばりすぎです。

削って削って、残ったのがこれでした。

「泣かせたら許さない」

あいつが泣かせたら、俺が許さない。そのつもりで送りました。

「味方が1人もいなかった」

20代の半ば、俺は仕事を理由に、当時の恋人との約束を何度も流しました。恋人の愚痴を聞いた友達は、あいつも含めて「忙しいんだから仕方ない」と俺の肩を持ちました。別れ際に恋人が言った一言は、今も忘れられません。

「あなたの周りには、私の味方が1人もいなかった」

だから、あいつの婚約者の味方でいようと決めていました。

ところが、あの一行には、既読がついてから返事が届くまでかなり間がありました。届いたのは「はい、気をつけます」。

主語を取り違えられたと分かりました。「いや、そうじゃなくて」と打ちかけて、消しました。言い訳に見える気がして、結局「よろしく」とだけ返しました。

便箋の最後の段落

あいつから友人代表の手紙を頼まれたとき、誤解を解くならここしかないと思いました。式の1か月前、あいつの婚約者にメッセージを送りました。

「手紙の中で、少しだけ新婦さんに向けて話してもいいですか」

少し間があって、「はい、大丈夫です」と返ってきました。

披露宴の当日、マイクの前から見ると、あいつの隣で新婦がテーブルのグラスに目を落としていました。子どもの頃の話で会場が笑ったあと、最後の段落に入りました。

「新婦さん、初めて送ったメッセージが短すぎてすみませんでした。あれには続きがあります」

新婦が顔を上げたのが、視界の端に映りました。俺は顔を上げずに続けました。

「もしこいつが泣かせるようなことをしたら、まず僕に言ってください。僕が先に怒ります」

会場の笑い声の中で、あいつはおしぼりで顔を押さえていました。俺は便箋をたたみ、深く頭を下げました。

そして...

式の翌日、新婦からメッセージが届きました。

「手紙、ありがとうございました。あのメッセージ、ずっと怖かったです」

「ですよね。主語が抜けてました」と、すぐに返しました。続けて、新婦から質問が届きました。

「どうして続きを送らなかったんですか?」

正直に答えれば、昔の恋人の話になります。式の翌日にする話ではないと思い、こう返しました。

「長くなるんで、また今度話します」

その夜、あいつから電話がありました。「泣かせたら、先に怒る人に言いつけるからね」と、あいつはさっそく新婦に言われたそうです。

10年前、俺は恋人の味方になれませんでした。あの言葉足らずな一行は、ようやく正しい相手の味方になれたようです。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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