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「私がやりました」新人の私のミスをかばった先輩。10年後、同じ文を打った私に届いた返信

  • 2026.10.25
ハウコレ

帰りの電車でスマホを開くと、職場のグループチャットに課長のメッセージが届いていました。私が入力した発注に、取引先から連絡が入ったという内容です。ところが、名乗り出るより先に画面に並んだのは、教育係の先輩の返信でした。

課長の質問に、先に答えたのは先輩でした

入社して半年、発注の入力を任されたばかりのころです。課長のメッセージはこうでした。

「先方から連絡がありました。今日の発注、数量が1桁多くなっています。入力したのはどなたですか?」

「申し訳ありません、私が」まで打ったところで、先輩の返信が届きました。

「私がやりました。先方には明日すぐに連絡して訂正します。申し訳ありません。」

課長からは「了解です。よろしくお願いします。」と返ってきて、グループチャットはそれきり動きません。打ちかけの文を消し、先輩に個別でメッセージを送りました。

「先輩、あの発注を入力したのは私です。私から課長に言います」

既読がついてから返信が来るまで、電車は駅を2つ過ぎていました。

「いいの。明日、少し早めに来られる?電話、隣で聞いてて」

電話のあとに言われた一言

翌日、先輩は取引先に電話をかけ、訂正の手配を済ませてくれました。隣でメモを取るだけの私に、電話を切った先輩が言ったのは一言です。

「数量は、送る前にもう1回見てね」

責めることも、恩に着せることもありません。課長に本当のことを言う機会も、そのまま来ないまま。あのとき先輩が、どうして自分の名前を出したのか。10年後に私が同じ文を打つまで、考えたこともありませんでした。

10年後、私が打った同じ文

3年前に先輩が別の支店へ移り、今は私が新人の教育係をしています。帰宅してから、部長のメッセージに気づきました。

「現場から、資材の納品日がずれていると連絡がありました。登録はどなたですか?」

後輩が登録し、私が確認して通した案件でした。後輩が名乗るより先にと、急いで送信します。

「私がやりました。先方にはすぐに確認して、手配し直します。申し訳ありません。」

少しして、後輩から個別のメッセージが届きました。

「さっきの、私の登録ミスですよね。部長に言わなくていいんですか?」

「確認したのは私だから。先方への連絡、明日一緒にやろう」

送ってから、10年前の帰りの電車を思い出しました。かばわれる側だった私は、あの文を送る側の指がどれほど重いのか、今日まで知らずにいたのです。

そして...

先輩に、久しぶりにメッセージを送りました。

「今日、後輩のミスで、先輩と同じ文を打ちました。私がやりました、って」

返信は短いものでした。

「そっか。確認したのは、あなただったんだね」

確認役をしているとは、一言も書いていません。翌日、後輩と並んで先方に電話をかけ、部長には登録と確認の経緯をそのまま伝えました。先輩とのトーク画面は、今も開いたままです。どうして先輩には、確認したのが私だと分かったのか。10年前、返信が届くまでの駅2つ分の間、先輩は何を考えていたのでしょう。

(30代女性・営業事務)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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