1. トップ
  2. エピソード
  3. ゴミ捨て場で私を説教し続けた隣人→通りかかった小学生の一言で黙った

ゴミ捨て場で私を説教し続けた隣人→通りかかった小学生の一言で黙った

  • 2026.10.25
ハウコレ

「決まりを守れない人が一人いると、みんなが迷惑するのよ」。その日の説教は、いつもより長く続きました。角を曲がってきた男の子が、足を止めるまでは。

ゴミ袋を持って玄関を出ると、角のゴミ捨て場にはもう隣の家の女性が立っていました。緑のネットの前で腕を組み、こちらを待っているように見えます。今日も何か言われるのだろうと思いながら、袋の口をもう一度握り直しました。

毎回ネットの前で待っている人

今の家に越してきて、半年になります。隣人は70代くらいの女性で、ゴミ捨て場は彼女の家の前の角にありました。

2カ月ほど前から、私が袋を出しに行くたび、彼女はそこにいるようになりました。

「袋の口はもっときつく縛りなさい」

「出す日はちゃんと確かめてるの?」

分別は自治体の表のとおりにしているつもりでしたし、出す日を間違えたこともありません。それでも言い返せば長くなりそうで、毎回「すみません、気をつけます」と頭を下げてきました。

出勤前の数分が、少しずつ削られていくようでした。

終わらない説教

その日は、袋をネットの下に入れたところで声が飛んできました。

「ちょっと、ネットは端までかけてって言ったでしょう」

見ると、ネットの端は確かに少しめくれていました。けれど、それは私が来る前からそうなっていたものです。直そうと手を伸ばすと、彼女はさらに続けました。

「決まりを守れない人が一人いると、みんなが迷惑するのよ」

駅へ向かう人たちが、横目でこちらを見ながら通り過ぎていきます。腕時計に目をやると、いつもの電車の時刻が迫っていました。

「すみません、気をつけます」

そう言っても話は終わらず、袋の結び方、ネットのかけ方、最近越してきた人たちのことへと移っていきます。通勤バッグの持ち手を握ったまま、私は話の切れ目を探していました。

そのとき、ランドセルを背負った男の子が角を曲がってきて、私たちの前で足を止めたのです。

男の子が見上げた先

男の子は私ではなく、隣人の顔を見上げていました。

「おばあちゃん、今日は言うんでしょ」

あれほど続いていた声が、その一言でぴたりと止みました。隣人は口を閉じたまま、男の子の帽子のつばを直しています。

「早く行きなさい、遅れるわよ」

男の子は少し首をかしげてから、小学校のほうへ走っていきました。隣人もそれ以上は何も言わず、黙って自分の家の門の中へ入っていきました。

残された私は、ネットの端を直し、急ぎ足で駅へ。あの子は知り合いの子なのだろうか。今日は言う、とは何のことなのだろうか。電車に揺られながら、そればかり考えていました。

そして...

次のゴミの日、袋を持って角へ行くと、隣人はやはりネットの前に立っていました。

身構えた私に、彼女は「おはよう」とだけ。それから何か言いかけるように口を開いたものの、結局は門の中へ戻っていきました。

説教を聞かずに済んだ朝は、2カ月ぶりでした。

あの子が口にした「今日は言うんでしょ」。彼女が本当に私へ言おうとしていたのは、いったい何だったのでしょうか。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ