1. トップ
  2. エピソード
  3. 「最初からいる人の飲み放題でいいでしょ」5〜6人から10人超に増えたカラオケ客。だが、店長が静かに伝えた一言

「最初からいる人の飲み放題でいいでしょ」5〜6人から10人超に増えたカラオケ客。だが、店長が静かに伝えた一言

  • 2026.10.22
「最初からいる人の飲み放題でいいでしょ」5〜6人から10人超に増えたカラオケ客。だが、店長が静かに伝えた一言

5〜6人だったはずの部屋に、知らない顔が

以前、夜のカラオケ店でアルバイトをしていたときの話です。

週末の夜はどの部屋も埋まっていて、私は飲み物を届けたり、空いたグラスを片づけたりと忙しく働いていました。

その日、ある部屋には20代から30代くらいの男女が5〜6人、飲み放題で入っていました。受付のときから、すでに顔が赤い人たちでした。

ところが、何度か飲み物を届けるうちに、見覚えのない顔が増えていることに気づいたのです。

最初は一人、また一人。気づけば部屋には10人を超える人が集まっていました。

しかも、後から来た人たちは注文をせず、テーブルにあるお酒を手にしています。

私は入口から声をかけました。

「すみません。後から来られた方も、飲み放題を追加するか、お一人一杯のご注文をお願いできますか?」

すると、入口に近い席の男性が、軽く手を振りました。

「ああ、大丈夫、大丈夫。すぐ帰るからさ」

そう言われて一度は引き下がりましたが、しばらくしても誰も帰りません。

もう一度お願いすると、今度は奥のソファにいた女性が口を挟みました。

「えー、最初からいる人の飲み放題でいいでしょ」

「私たち、もう飲んでないし。代わりに飲むくらい、よくない?」

私は困りながらも、それはできない決まりだと説明しました。

すると、手前の男性がグラスを持ったまま身を乗り出してきました。

「じゃあさ、後から来たやつも同じ時間で飲み放題にしてよ。追加料金なしでさ」

「そんなに融通きかないの?」

周りの客も笑い始め、こちらの話を聞いてくれる様子はありません。

これ以上一人で対応するのは難しいと感じ、私はフロントにいる店長を呼びに行きました。

店長の一言で変わった部屋の空気

40代くらいの男性店長に、私は事情を説明しました。

「最初は5〜6人だったんですけど、今は10人以上いて……。後から来た方もお酒を手にしているのに、注文してもらえないんです」

店長はうなずくと、私と一緒に部屋へ向かいました。

部屋に入った店長は、騒いでいる客たちを見渡し、落ち着いた声で話しかけました。

「失礼します。後から来られた方は、まだご注文をいただいていないと聞いているのですが」

すると、先ほどの男性が面倒くさそうに答えました。

「だから、最初からいるやつの飲み放題でいいじゃん。もう飲んでないんだし」

店長は表情を変えずに答えました。

「申し訳ありませんが、飲み放題はご注文いただいた方だけが利用できる決まりなんです。別の方への付け替えはできません」

「えっ、ちょっとくらいいいでしょ?」

「お気持ちはわかりますが、後から来られた方にも、それぞれご注文をお願いしています」

店長が穏やかに説明すると、男性は返す言葉を探すように口を閉じました。

「もう飲んでない」と言っていた女性も、自分の前のグラスに目を落としています。

しばらく沈黙が続いたあと、男性が小さな声で言いました。

「……わかったよ。払うから」

結局、後から来た人たちの分も注文することになり、会計ではその料金も支払われました。客たちは気まずそうに帰っていきました。

その後、部屋を片づけていると、店長が私に声をかけました。

「ああいうときは、何ができて何ができないか、はっきり伝えたほうがいいんだよ」

大きな声で言い返すことなく、相手の言い分を聞いたうえで、必要なことを伝える。店長の落ち着いた対応が、今でも印象に残っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ