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「どうせ下げちゃうんだから、いいだろう」朝食のパンを袋に詰めた父親。だが、出口でスタッフに呼び止められた結果

  • 2026.10.20

山盛りの料理を残して、パンを袋へ

以前、少し話題になっていたホテルに泊まったときのことです。朝食はビュッフェ形式で、私は出入口に近い窓ぎわの席に座っていました。

隣のテーブルには、夫婦と小学生くらいの男の子がいました。

父親は、から揚げやローストビーフを皿からこぼれそうなほど盛って戻ってきました。ところが、ほんの少し食べただけで箸を置いてしまったのです。

まだ半分以上も残っているのに、今度は持参した大きなビニール袋を広げ始めました。

何をするのだろうと思って見ていると、テーブルにあったクロワッサンやパンを、次々と袋に詰め始めたのです。

周囲を気にしながらも、手は止まりません。

「ちょっと、やめなよ。見られてるよ」

奥さんが小声で注意しました。

「いいんだよ。どうせ残った料理は捨てるんだから」

父親はそう答えると、またパンを袋へ入れました。

ちょうど通りかかった年配のご夫婦が、その袋に目を向けました。すると父親は、少し声を大きくして言ったのです。

「どうせ下げちゃうんだから、いいだろう」

でも、皿に残した料理と、持ち帰ろうとしているパンは別の話です。

料理を補充していたスタッフも困ったような表情で、そのテーブルを気にしていました。

せっかくの旅行の朝なのに、私は何とも言えない気持ちになり、食事が進まなくなってしまいました。

出口でスタッフに呼び止められた父親

しばらくすると、父親はパンで膨らんだ袋を提げて立ち上がりました。奥さんと男の子も、黙って後ろについていきます。

出入口の外には、朝食の順番を待つ人たちが並んでいました。

父親が出口へ差しかかると、そこに立っていた若い女性スタッフが袋に目を向け、声をかけました。

「お客様、恐れ入ります」

父親が立ち止まると、スタッフは落ち着いた声で続けました。

「朝食のお料理は、会場の外へお持ち出しいただけないんです。申し訳ありませんが、こちらでお預かりしてもよろしいでしょうか」

父親はむっとした表情で、袋を体の後ろに回しました。

「なんだよ。どうせ捨てるんだろう、これ」

「お召し上がりにならなかった分は、こちらで片づけます。ただ、お持ち出しは皆さまにご遠慮いただいておりますので…」

スタッフは声を荒らげることなく、丁寧に説明しました。

それでも父親は納得できない様子でしたが、周囲には順番を待つ人たちがいます。列に並んでいた人たちの視線も、父親の持つ袋へ向けられていました。

父親は何か言い返そうとして口を開きましたが、結局何も言わず、袋をスタッフへ差し出しました。

「ありがとうございます」

スタッフが頭を下げると、父親は奥さんと男の子を連れて会場を出ていきました。二人とも気まずそうにうつむいていました。

列の先頭にいた女性が、小さくうなずいているのが見えました。

私はようやくほっとして、冷めかけたオムレツにフォークを伸ばしました。

最後まで穏やかな口調を崩さず、決まりをきちんと伝えたスタッフの対応が、今でも印象に残っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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