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サークルの同窓会で、俺が本心と逆の冗談を彼女に言ってしまった理由

  • 2026.10.21
ハウコレ

冗談じゃん、と笑ってごまかした言葉は、本心とは反対でした。駅のホームで彼女に謝ったあとも、あの言葉を選んだきっかけだけは言い出せませんでした。

ドリンクを取りに立った居酒屋のカウンターで、同期が座敷のほうをあごで指しました。大学の旅行サークルの同窓会に、彼女と並んで参加した日のことです。その時に聞いた言葉が、帰るまで頭から離れませんでした。

カウンターで聞いた同期の言葉

彼女とはサークルで知り合い、付き合って3年。同期の視線の先では、彼女が口元を手で覆って笑っていました。

「あいつ、笑うとかわいいよな」

同期は軽い調子でそう言い、グラスを持って座敷へ戻っていきました。同じことを、彼女本人には一度も言ったことがありません。サークル時代の俺は、人をいじって笑いを取る役回りでした。照れくさい言葉ほど、冗談に変えて口にしてきたのです。

昔の調子で口から出た冗談

座敷に戻ると、合宿の思い出話で盛り上がっていました。同期の1人が道に迷った話を持ち出し、全員が声を上げて笑う中、隣の彼女も口元を押さえて笑っていました。カウンターにいた同期がその彼女を見ているのに気づいた瞬間、昔の調子のまま口が動いていたのです。

「お前は笑うと不細工」

え?と聞き返されて、慌てて付け足しました。

「冗談じゃん」

俺が笑うと周りも笑い、話はそのまま次へ流れていきました。彼女の手は、口元から離れないままでした。

頭を下げたあとに言えなかったこと

帰りの駅のホームで、冗談で済むと思っているのかと彼女に聞かれました。自分の笑い方が昔から好きではないと知ったのも、その時が初めてです。座敷でずっと口元に置かれていた手の意味を、そこでようやく考えました。しばらく足元を見たあと、頭を下げました。

「ごめん。みんなの前で言っていいことじゃなかった」

理由を聞かれ、逆のことを思っていたとだけ答えました。逆って?と重ねて聞かれ、小さな声で言った言葉は、通過する快速電車の音にかき消されたようでした。聞こえないと言われ、電車が行ったあと、ホームに響く声で言い直しました。

「笑うとかわいい」

次の瞬間、彼女が声を上げて笑いました。彼女の笑い声を聞いたのは、付き合って3年で初めてでした。口から出たのが、カウンターで同期が言ったのと同じ言葉だったことは、言えないまま電車に乗りました。

そして...

数日後、サークルのグループチャットに届いた次の集まりの案内。2人で参加します、と返信を打ちながら、カウンターでの話をいつ切り出すかは決められずにいました。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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