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「まだなの?早くしてくれる?」球場のレジで小銭を数えさせた女性客。会計の結果を聞いた途端、黙り込んだ理由

  • 2026.10.17

試合開始前の売り場に広がった大量の小銭

以前、球場の飲み物の売り場で、短期のアルバイトをしていたときのことです。

その日は試合開始前で、カウンターの前には長い列ができていました。

私はレジを担当し、40代の男性社員がすぐ横で接客を手伝っていました。

列の先頭にやってきたのは、30代くらいの女性客でした。

「ビールひとつ」

私が代金を伝えると、女性は小銭入れを取り出しました。

会計用のトレーを差し出した、そのときです。

女性は小銭入れを逆さにすると、トレーの上で勢いよく振り始めました。

ジャラジャラと音を立て、大量の小銭が広がります。

「細かいのがたまって重いのよ。ここで全部使っちゃうから」

女性はそう言いながら、小銭入れの中にまだ残っていないか、指で探り続けています。

後ろには大勢のお客様が並んでいました。試合開始が近いこともあり、ため息が聞こえてきます。

私はトレーを見ながら尋ねました。

「お客様、これで全部でしょうか?」

すると女性は顔も上げず、面倒そうに答えました。

「……いいから数えて」

私は社員と手分けして、小銭を一枚ずつ数え始めました。

ところが、数えている途中で女性が口を開きました。

「まだなの?早くしてくれる?」

思わず顔を上げそうになりましたが、数え間違えるわけにはいきません。

私は何も言わず、確認を続けました。

数え終わって分かった、予想外の結果

ようやく数え終わり、社員と金額を確認しました。

しかし、トレーの小銭をすべて合わせても、商品の代金には届いていなかったのです。

社員は女性に向き直り、落ち着いた声で伝えました。

「申し訳ありません。全部数えたんですが、少し足りないですね」

「えっ……足りないの?」

女性は驚いたようにトレーを見つめ、再び小銭入れの中を探し始めました。

「ちょっと待って。まだあるかも……」

さっきまで私たちを急かしていた声は、すっかり小さくなっていました。

社員は女性に声をかけました。

「分かりました。足りない分が見つかりましたら、教えてくださいね」

そして私に目で合図すると、後ろに並んでいたお客様たちに案内しました。

「お待たせして申し訳ありません。お会計の方は、隣のレジへどうぞ」

社員は元のレジで女性への対応を続け、私は隣のレジに移って、待っていたお客様の会計を始めました。

すると、長く並んでいたお客様たちが次々に移ってきました。

列の中ほどにいた男性が、小さくつぶやきました。

「助かった。これで間に合う」

私は急いで会計を進めました。

ふと隣を見ると、女性はまだ小銭入れの中を探していました。

先ほどまで女性の後ろに並んでいたお客様たちは、もう誰もいません。

そのとき、球場の中から大きな歓声が響いてきました。

試合が始まったのです。

女性は手を止め、歓声のするほうへ顔を向けました。

しかし、何も言わず、再び手元に視線を落としました。

私は次のお客様にビールを手渡しました。

「ありがとう。助かったよ」

お客様はそう言って、足早に客席へ向かっていきました。

女性は相変わらず小銭入れをのぞき込んでいました。

あれほど「早くして」と私たちを急かしていたのに、今度は自分の会計が進まず、すっかり静かになっています。

私はその姿を横目に、次のお客様の会計を始めました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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