1. トップ
  2. エピソード
  3. 「なんで私のところなんでしょう」レジの打ち間違いを疑った女性客。その後、何週間も私のレジに通い続けた末に告げた一言

「なんで私のところなんでしょう」レジの打ち間違いを疑った女性客。その後、何週間も私のレジに通い続けた末に告げた一言

  • 2026.10.16

レジで突然、打ち間違いを指摘されて

スーパーでレジの仕事をしていたころの話です。

私はいつも、明るく元気な接客を心がけていました。エプロンのひもをきゅっと結び、大きな声で「いらっしゃいませ!」とお客さんを迎えるのが毎日の習慣でした。

そんなある日の昼ごろ、年配の女性客が会計を済ませた直後、レシートを見ながら首をかしげました。

袋詰めの台へ向かいかけた女性客は、再び私のレジへ戻ってきました。

「ちょっと、いいかしら」

「はい、どうされましたか?」

女性客はレシートを差し出し、少し厳しい表情で言いました。

「商品の打ち間違いがあるんじゃないか」

「えっ……申し訳ありません。確認しますね」

思いがけない指摘に、私は一気に緊張しました。

すぐに店長を呼び、後ろに並んでいたお客さんには隣のレジへ移っていただくことになりました。

店長と一緒に、購入された商品とレシートの内容、レジの取引記録を照らし合わせていきます。

女性客はカウンターの外で腕を組み、黙って確認が終わるのを待っていました。

すべてを調べ終えるまで、20分ほどかかりました。

しかし、結果はレジの打ち間違いではなく、女性客の勘違いだったのです。

店長が確認した内容を説明すると、女性客は小さくうなずきました。

「ああ、そうだったの。分かりました」

そのまま帰っていく女性客を見送り、私はようやく肩の力を抜きました。

間違いがなかったのはよかったものの、あれほど長くレジを止めたのは初めてで、しばらく落ち着きませんでした。

なぜか毎日、私のレジに並ぶ女性客

ところが、その出来事には続きがありました。

ある日、隣のレジにいた先輩が私に声をかけてきました。

「ねえ、あの人、今日もあなたのレジに並んでるよ」

「えっ?あのときのお客さんですか?」

列を見ると、確かにあの女性客が立っています。

先輩によると、あの日の翌日から毎日のように来店し、ほかのレジが空いていても私の列に並んでいるというのです。

私は会計に集中していたため、女性客がいつも自分のレジを選んでいたことには気づいていませんでした。

「なんで私のところなんでしょう……」

また間違いを探しているのでしょうか。それとも、ちゃんと仕事をしているか見張られているのでしょうか。

理由が分からないまま、私は女性客が並ぶたびに緊張するようになりました。

商品をいつも以上に慎重に通し、かごへ移す順番にも気を配ります。

「い、いらっしゃいませ!」

思わず普段より大きな声が出てしまい、隣の先輩が笑いをこらえていました。

「もう、すっかり指名されてるね」

「いや、緊張するんですけど…」

そう言いながらも、私もつられて笑ってしまいました。

それから何週間たっても、女性客は変わらず私のレジに並び続けました。

そして、ある日の会計が終わったときのことです。

女性客が、ふいに私の顔を見て言いました。

「あなた、打つのが速くなったわね」

「えっ……あ、ありがとうございます!」

予想もしていなかった言葉に、私は驚いてしまいました。

女性客はそれ以上何も言わず、いつものように袋詰めの台へ向かっていきました。

私はずっと、間違いがないか見張られていると思っていました。

でも、もしかしたら、あの人は私の仕事ぶりをずっと見てくれていたのかもしれません。

隣のレジから先輩の小さな拍手が聞こえてきて、私もようやく笑顔になりました。

最初は怖いと思っていたお客さんの一言が、こんなにうれしく感じられるとは思ってもいませんでした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ