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「携帯電話、車にあったよ」閉店後に私を怒鳴りつけた男性客。翌週、何事もなかったように話す男性に店主が返した一言

  • 2026.10.16

閉店後の店にかかってきた電話

学生のころ、私はそば屋でアルバイトをしていました。

その晩も最後のお客さんを見送り、テーブルをふいて、いすを逆さにして上げていきました。

床の掃除も終わり、片づけがひと段落したところで、レジ横の電話が鳴りました。

受話器を取ると、いきなり男性の声が聞こえてきました。

「俺の携帯電話、店に忘れてないか」

中年くらいの男性の声でした。夕方に店を利用したそうです。

私は掃除した席を思い返しました。テーブルの上も、いすの周りも、下の棚も確認したはずです。

「すみません。片づけたときには見当たらなかったんですが……」

すると男性の声が急に大きくなりました。

「いや、テーブルに置いたんだよ。ちゃんと探したのか?」

「はい。でも、もう一度確認しますので…」

「そんなはずないだろ!店以外にあるわけないんだから!」

私は思わず受話器を握り直しました。

「申し訳ありません。もう一度、よく探します」

「何なんだよ、その返事は!」

何度説明しても聞いてもらえず、男性は怒鳴り続けました。

結局、こちらの話が終わる前に電話は切られてしまいました。

私はいすをすべて下ろし、テーブルの下や床まで確認しました。それでも携帯電話は見つかりません。

翌日、店主に事情を話しましたが、掃除のときに見落としたのではないかと、何日も気になっていました。

翌週の昼、男性が口にした一言

それから翌週のことです。

昼の混雑する時間帯に、聞き覚えのある声の男性が来店しました。

食事を終えた男性はレジに向かい、会計をしていた店主に、財布を開きながらこう言ったのです。

「ああ、そういえば。携帯電話、車にあったよ」

その言葉を聞いて、私は思わず男性を見ました。

あの晩、電話をかけてきた男性だったのです。

見つかったのはよかったものの、あれだけ怒鳴られたことを思い出すと、何とも言えない気持ちになりました。

ところが男性は、謝ることもなく、おつりを待ちながら壁の品書きを眺めています。

店主の横に立っていた私は、何も言えずにいました。

すると、おつりを渡した店主が口を開きました。

「そうでしたか。見つかってよかったですね」

「でも、あの晩はうちの子もずいぶん怒鳴られたそうで。席も全部探し直したんですよ」

男性は店主の顔を見ました。

店主は続けました。

「見つかったなら、ひと言くらい謝っていただけませんか」

男性は一瞬、言葉に詰まったようでした。

「……ああ。悪かったね」

そう小さく言うと、私とは目を合わせず、足早にのれんをくぐっていきました。

私は店主に「ありがとうございます」と伝えました。

店主は特に大げさなことを言うでもなく、いつものように厨房へ戻っていきました。

携帯電話が見つかったことよりも、店主が私の代わりに声をかけてくれたことが、何よりうれしかったです。

何日も引っかかっていた気持ちが少し晴れて、その日の帰り道はいつもより足取りが軽く感じられました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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