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【俺たちの箱根駅伝】第1話レビュー クールな山下智久が秘める熱さ。選手とテレビ局、それぞれの戦いが始まる

  • 2026.10.13

【俺たちの箱根駅伝】第1話レビュー クールな山下智久が秘める熱さ。選手とテレビ局、それぞれの戦いが始まる

池井戸潤の小説を原作に、箱根駅伝に懸ける人々の情熱を描くドラマ「俺たちの箱根駅伝」(日本テレビ)。大泉洋演じるテレビ局のチーフプロデューサーをはじめ、中継に挑むスタッフたちと、タスキをつなぐ学生ランナー。走る者と伝える者、ふたつの視点から描かれる熱いドラマの見どころを、各話のレビューで振り返ります。※ネタバレあり

1年前にドラマ化決定。異例の早さに製作陣の熱量を感じる

正月の風物詩とも言える箱根駅伝を、選手側とテレビ局側、それぞれの目線で描き出すドラマ「俺たちの箱根駅伝」。

『空飛ぶタイヤ』、『半沢直樹』、『下町ロケット』など、数々の名作を生み出してきた池井戸潤が、十余年をかけて書き上げた渾身の青春群像劇を日本テレビがドラマ化した。

ドラマ化決定の一報が出たのは、ちょうど1年前の2025年10月。異例の早さに制作陣の作品への熱量がうかがえる。年が明けて実際の箱根駅伝の放送が終わると、主演が大泉洋であることが明らかに。その後、山下智久、伊藤沙莉をはじめ、学生ランナーを演じる若手俳優ら、豪華キャスト陣の発表も段階的に行われ、放送前から大きな注目を集めてきた。

ついに10月10日、第1話が40分拡大で放送された。

貴重な中継車内部の描写。伊藤沙莉のプロぶりも見応えあり!

物語は箱根駅伝本選出場をかけた予選大会の場面から始まった。

劇中でも説明があるが、ここで念のため、箱根駅伝本選までの流れを簡単に整理しておく。前回大会の上位10校はシード校として本選出場が決まり、予選会では各校上位10人の合計タイムで上位10校が本選へ進む。そこに、予選会で敗退した選手たちを選抜して編成される関東学生連合を加えた、20校+1チームが本選に臨む。

中継車では、大日テレビの「箱根駅伝」チーフプロデューサー・徳重亮(大泉洋)やセンターディレクター・宮本菜月(伊藤沙莉)らが、2年連続で本選出場を逃し、3年ぶりの“箱根復帰”を目指す古豪・明誠学院大学の動向を追っていく。ケガで2年間、予選会に出場できなかった4年生のエース・青葉隼斗(小林虎之介)も最後のチャンスをつかもうと強い思いで挑んでいた。だが、途中まで順調だった走りは腹痛で崩れ、結果は11位。明誠は本選出場を逃し、青葉は責任を感じて深く落ち込んでしまう。

だが、監督・諸矢久繁(寺尾聡)はすでに次を見据えていた。自身は引退し、後任にOBで伝説のランナー・甲斐真人(山下智久)を1年間の約束で迎える。甲斐は「再び箱根へ行く」と宣言。また、関東学生連合チームに選ばれながらも自分には資格がないと迷う青葉は、その監督も務める甲斐の熱い言葉に刺激され、決意を新たにする。

冒頭、選手たちの走りと、中継車や実況席の様子が交互に映し出されるため少し目まぐるしく感じたかもしれない。だが、これこそが本作を象徴する構図であり、箱根駅伝を1987年から生中継してきた日本テレビだからこそ実現できたドラマだと実感する。

普段なかなか目にすることのない中継車内部の描写は貴重で、なかでも的確に指示を出す宮本のプロフェッショナルぶりは見応えがあった。熱量を前に出しすぎず、真摯な眼差しで役を立ち上げていた伊藤沙莉の演技も印象的だ。

熱さを押し殺したようなクールな芝居を見せた山下智久

選手側の臨場感もかなり本格的だ。沿道や競技場を埋めるエキストラの熱気はもちろん、キャスト陣の仕上げ方にも本気度がにじむ。“箱根のランナー”になるべく撮影前からトレーニングや練習会、合宿を重ねてきたというだけあって、第1話では青葉役の小林虎之介や、青葉の同期・前島友介役の杢代和人が走るシーンがあったが、体型やフォームまで含めてかなり自然。今後登場するキャストたちにも期待が高まった。

選手の中心となる青葉は、自分を責めて苦悩したり、悔し涙を流したりと、感情の振れ幅が大きい場面で熱のこもった芝居を見せた。終盤、甲斐から関東学生連合チームへの参加について「お前の走りでチームの仲間に認めさせろ。どうだ。やれるか?」と問われ、「やれます」と力強く返す場面では、目に炎が宿ったような熱さが胸に迫ってきた。

熱さを押し殺したようなクールな芝居を見せた山下智久は、画面に映るだけで空気が引き締まるような緊張感をまとい、これから学生たちとどう関わっていくのか楽しみになった。

ラストは桑田佳祐が歌う主題歌でドラマティックに

一方、箱根駅伝の放送まで3カ月を切り、大日テレビのスポーツ局は一気に慌ただしくなる。徳重は、編成局長から箱根駅伝をバラエティー化するためにお笑いタレントを呼ぶよう求められるが、当然ながら猛反発。だが、その後の対応が裏目に出て芸能事務所との関係が悪化し、大日テレビからタレント撤退というまさかの事態まで起きてしまう。それでも最後は徳重が機転を利かせ、メインスポンサーの協力を得て、なんとか硬派なスポーツ中継を守り切るのだった。

大日テレビ側は、大泉洋、伊藤沙莉をはじめ、見応えのあるキャストがそろっている。スポーツ局は若手中心だが、上層部には編成局長・黒石武役の高橋克典や、スポーツ局長・北村義男役の二代目市川猿弥、そして大手芸能事務所の社長・田村健一郎役の小日向文世も登場。あくの強い芝居でしっかりと圧をかけてきて、大泉と対峙する場面は迫力満点だった。そんな中で、大泉はさすがの安定感。上からも下からも挟まれる中間管理職らしいしんどさを、軽やかさを残しつつ丁寧に演じていて、芸達者ぶりがよく伝わってきた。

選手側、テレビ局側、登場人物それぞれの立場で“つなぐ”という大きなテーマを感じた初回。ラストには桑田佳祐が歌う主題歌「神々の襷(たすき)」が流れてドラマティックに次回へと盛り上げ、画面には「箱根駅伝まで56日」の文字が。これから始まっていく壮大なドラマに胸が躍った。

構成・文/四戸咲子

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