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【俺たちの箱根駅伝】第3話レビュー 熱を秘めた山下智久と、闘志むき出しの山本耕史。対照的な2人の演技が見応え十分

  • 2026.10.27

【俺たちの箱根駅伝】第3話レビュー 熱を秘めた山下智久と、闘志むき出しの山本耕史。対照的な2人の演技が見応え十分

池井戸潤の小説を原作に、箱根駅伝に懸ける人々の情熱を描くドラマ「俺たちの箱根駅伝」(日本テレビ)。大泉洋演じるテレビ局のチーフプロデューサーをはじめ、中継に挑むスタッフたちと、タスキをつなぐ学生ランナー。走る者と伝える者、ふたつの視点から描かれる熱いドラマの見どころを、各話のレビューで振り返ります。※ネタバレあり

大日テレビスポーツ局は箱根駅伝中継センターアナの緊急入院という大ピンチに見舞われ、関東学生連合チームには監督・甲斐(山下智久)の因縁のライバルが現れて不穏さがグッと増し、中継側も学生連合チーム側も波風だらけの第3話。

徳重(大泉洋)、またまた大ピンチ!

20人を超える各地の実況アナの指揮を取る司令塔的なポジションを6年も務めてきたセンターアナ・前田(平原テツ)が病を患い緊急離脱し、中継体制が大きく揺らぐ。チーフプロデューサーの徳重(大泉洋)は代役探しという気の思い役目を背負うことに。センターアナはいわゆる箱根中継の“顔”とも言える存在で、箱根駅伝まで50日を切り、この期に及んで前田の代わりを見つけるのは相当難しいはず。センターディレクター・宮本(伊藤沙莉)らも頭を抱え、全員が勢ぞろいした会議もどんより。

代役候補として徳重が名前を挙げたのは、ベテランアナの辛島文三(竹中直人)。アナウンス部の古参で技術は折り紙付きだが、とにかく扱いにくいことで知られ、スポーツ局の面々も大反対だ。「面倒くさい」「きつい、厳しい、気難しいの三拍子」と散々な言われようだが、それだけ一筋縄ではいかない人物なのだろう。そんな中、宮本はゴルフ中継で培った辛島の力に期待を寄せる。

時間がないからこそベテランに託すしかないという流れがなんともスリリング。ドラマなのだから毎回何かが起きるのは当然とはいえ、今回はまさに一難去ってまた一難。大日テレビパートはお仕事ドラマとしての面白さがしっかりあって、徳重や宮本らがこの代役探しというピンチをどう乗り越えるのか、自然と目が離せなくなる。

竹中直人のベテラン感&戸塚純貴のフレッシュ感

徳重がゴルフ場へ向かうと、観客に紛れて試合を見つめる辛島の姿があった。初登場は後ろ姿だけなのに、その背中から厳しさとどこか哀愁までにじませるあたり、さすが竹中直人だ。自分の面倒くささをわかっているような、自嘲気味で偏屈な空気も絶妙で、声を荒らげなくても十分に迫力がある。どの世界でも面倒くさいベテランは厄介なものだが、その厄介さに妙な説得力があるのがこの人のすごさ。最初は「若手にやらせればいい。青臭いスポーツ中継は苦手だ」と突っぱねながらも、徳重や宮本たちの熱意に少しずつ心を動かされていく。そのわずかな変化まできっちり見せる抑えた芝居が効いていた。

一方、辛島の対極にいる若手アナとして登場するのが丸太真二(戸塚純貴)。好きなアナウンサーランキング1位の常連で、バラエティー番組のMCも務める人気者という役どころだが、これを演じる戸塚が実に巧い。本当にこういうアナウンサーいそう!と思わせる空気が自然で、華があるのにちゃんと地に足もついている。コメディからシリアスまで振り幅の広い戸塚だからこそ、この絶妙なリアリティーが出せるのだろう。

辛島との対比もくっきりしていて面白い。箱根駅伝のバラエティー化を狙う編成局長の黒石(高橋克典)から代役を打診されていた丸太が、徳重の「テレビが箱根を変えてはいけない」という熱い思いに胸を打たれ、「ありのままの箱根駅伝を伝えられるのは辛島さんです。私はまだ箱根の襷は受け取れません」と辛島に訴えかけるシーンは、新旧アナウンサーの思いも交錯し、グッとくるものがあった。

一歩ずつ箱根に近づく学生連合チーム。そして山本耕史登場!

1万メートル記録挑戦競技会を経て、それぞれが担当する区間発表が行われた学生連合チーム。まずは各々に2つの区間候補を割り当てた甲斐に驚く学生たちだが、「できるだけ近いうちに自分の走るコースを歩いてコースをじっくり観察し、自分なりにレースプランを立ててみろ。コースを熟知しているかどうかで本選での走りは変わってくる」という言葉に気を引き締めるのだった。

自分の不甲斐ない走りのせいで予選会を突破できなかったという自責とトラウマから抜け出せず、なかなか調子を上げられないキャプテンの隼斗(小林虎之介)。簡単に弱音も吐けず、ひとりで苦しさを抱え込んでいる感じがまたつらい。そんな隼斗の揺れる心を、小林がとても繊細に表現していて、今にも泣きそうな表情には胸が締め付けられる。「がんばれ…!」と応援したくなるばかりで、この苦しみをどう乗り越えるのかが気になって仕方ない。

隼斗を気にかけるマネージャーの計図(奥智哉)の健気さもいい。自信を持たせるため、甲斐の指示で練習のタイムを測るときに少しだけ早くストップウォッチを押し、記録がよくなったように見せる作戦に出るのだが、うまくいったとはしゃいだ勢いで失言し、本人にばれてしまう。その抜けたところが可愛らしく、怒らずに笑顔で諭す隼斗も優しい。ピュアすぎる2人に心が浄化された気がした。浩太(水沢林太郎)率いる“ネガティブ派”の3人は、甲斐を無視するなど相変わらず感じ悪いが、今回はこの2人のピュアさが吹き飛ばしてくれた。

そして忘れてはならないのが、甲斐のライバルとして登場した王者・東西大学の監督・平川庄介(山本耕史)。甲斐とは学生時代のライバルで、ランナーとしては甲斐が勝っていたが監督としては自分の方が経験者だとばかりに本選3位以上という目標を掲げる甲斐を見下し、容赦なく叩いてくる。演じる山本は近年、“クセつよ”俳優として存在感を示しており楽しみにしていたが、期待どおり。ただの嫌な人で終わらず、ちゃんと強敵に見えるのが山本のすごさ。熱を内に秘めるクールな山下と、全身で火花を散らすような山本の対比も見応え十分。インタビューで「学生連合廃止」を唱える平川は一体何を企んでいるのか…。

箱根駅伝まで45日。いろんな役者が出そろってきて、ますます楽しみになってきた。

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