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写真だけで彼女の実家を見下していた俺→彼女の実家の庭でスマホを構えてしまった理由

  • 2026.11.5
ハウコレ

足を崩して眺めていた座敷が、庭を見たあとには違って見えました。彼女のお父さんが何気なく口にした一言で、俺の頭の中では別の計算が始まっていました。

送信ボタンを押したとき、ほんの軽口のつもりでした。付き合って1年半の彼女なら、笑って流すだろうと思っていたのです。あのメッセージを都合よく忘れたくなったのは、彼女の実家の庭を見てからでした。

写真から決めつけた家

俺の父は昔から「結婚相手の家は見ておけ」が口癖でした。車や家の新しさで相手を量るのは、我が家では当たり前のことだったのです。

挨拶の日取りが決まり、彼女から写真が届きました。彼女の実家の写真です。それだけで、暮らし向きは想像がつくと思いました。

「お前の家貧乏なんだな」

そう送り、手土産も安いのでいいと付け足しました。古い造りなだけ、と返ってきたときも、強がっているようにしか読めませんでした。

池の前で構えたスマホ

挨拶の日、駅の改札で彼女と合流し、お父さんの運転する車で実家へ向かいました。

座敷では、どうせ気楽な家だろうと足を崩していました。お茶を飲み終えたころ、お父さんに家の中を案内すると言われ、後についていきました。

廊下の先には蔵があり、その奥に庭が広がっていました。池に、枝ぶりの整った松、苔の上の石灯籠。旅館の中庭でしか見たことのない景色です。

「このへんの田んぼも山も、昔からうちが貸しているんですよ」

お父さんは世間話のように言いました。俺は池の前でスマホを構え、何枚も写真を撮っていました。

座り直した理由

座敷に戻ると、俺は正座をしていました。緊張したからではありません。この家とつながっておいて損はない。頭にあったのは、それだけでした。

お父さんの呼び方も、話題も、その場で選び直しました。庭の手入れを熱心に聞いたのも、話を合わせるためです。

帰りの電車では、撮った写真を見返しながら彼女に送りました。

「お前の実家すごすぎない?庭、旅館かと思った」

「てか、まわりの田んぼもお前んちの?」

返ってきたのは、見覚えのあるメッセージでした。

「古い造りなだけだよ」

謙遜だろうと受け取り、次に会う約束を取りつけるつもりで返信しました。

「次いつ行く?お父さんにちゃんとお礼したい」

そして...

しばらくして届いたのは、短い返事です。

「少し考えさせて」

何を考えるのか、俺には見当がつきませんでした。写真だけで家を見下したことも、庭を見て態度を変えたことも、彼女には伝わっていないはずだと思っていたからです。

返事を打たないまま画面を切り替え、地図アプリの航空写真で、彼女の実家のまわりの田んぼを1枚ずつ指でなぞっていました。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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