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「私のほうが先に結婚する」と言っていた私→同期の結婚式当日、改札の手前で引き返しました

  • 2026.10.12
ハウコレ

同期は、誰よりも先に私に結婚を報告してくれました。その気づかいが分かるからこそ、素直に喜べませんでした。

駅の改札の手前で、ICカードを持つ手を下ろしました。バッグの中には、数日前に用意したご祝儀袋。このまま改札を抜ければ、同期の結婚式には十分に間に合うはずでした。

勝ちたかったのは1つだけ

彼女とは入社同期で、ずっととなりの席です。仕事が丁寧で、上司からの信頼も厚い。評価面談のたびに結果を聞いては、自分との差を確かめていました。

仕事で追いつけないなら、せめて結婚だけは先にしたい。付き合って4年になる彼がいたこともあり、いつからかそう考えるようになっていたのです。

先輩の結婚報告があった日、社員食堂で口にしたのが「私のほうが先に結婚する」という言葉でした。彼女に向けたようで、本当は自分に言い聞かせていたのだと思います。笑って「うん、応援してる」と返されたとき、張り合う相手にもされていない気がして、面白くありませんでした。

先に教えてくれた理由

休憩室でコーヒーを飲んでいたとき、彼女に声をかけられました。

「実はね、結婚することになったの」

社内の誰よりも先に、私に伝えにきてくれた。あの口ぐせを知っているからこその気づかいだと、すぐに分かりました。けれどその優しさを、素直に受け取れなかったのです。

紙コップを両手で持ち直し、どうにか「そっか、おめでとう」とだけ返して席に戻りました。

その少し前、彼に結婚の話を切り出したばかりでした。返ってきたのは「今はまだ考えられない」という答えです。

返信はがきが届いたとき、欠席に丸をつければ嫉妬を認めることになる気がしました。出席に丸をつけ、「楽しみにしてます」と書き添えて投函しました。

改札の手前で

式の当日、ドレスに着替えて駅まで来ました。

改札の手前で、披露宴の光景を思い浮かべてしまいました。同期のテーブルで拍手をしながら、自分はどんな顔をしているのか。笑っているつもりでも、彼女にだけは本心を見抜かれる気がしました。

ICカードをバッグにしまい、来た道を引き返しました。歩きながら打ったのは、短いメッセージです。

「ごめん、今日行けなくなった」

すぐに「わかった。無理しないでね」と返ってきました。責める言葉が1つもない返信を画面に表示させたまま、家までの道を歩き続けました。

同期のテーブルには、私の名札だけが残っていたはずです。

そして...

週明け、早めに出社して彼女のデスクに紙袋を置きました。中身はペアのマグカップ。添えるカードは何度も書き直し、結局「おめでとう」とだけ書いています。

彼女が席に着いてから、となりから声をかけました。

「式、行けなくてごめんね」

「ううん、来ようとしてくれてたんでしょ」

その一言に、うなずくのが精一杯でした。そのままパソコンの画面に向き直っています。

駅の改札まで行ったことも、彼との結婚の話が止まったままであることも、彼女にはまだ話せていません。引き出しの奥には、書き直したカードが何枚も残っています。

(20代女性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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