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「女の給料なんて、たかが知れてる」と妻に言った僕→それは子どものころ聞いた父の口癖でした

  • 2026.10.12
ハウコレ

「無理して働かなくていいのに」と伝え続けたのは、妻を思ってのつもりでした。けれど妻に向けてしまったのは、子どものころ何度も聞いた言葉でした。

娘の寝かしつけを終えた妻がリビングに戻ってくる少し前、テーブルに開いたままのノートパソコンが目に入りました。また仕事を持ち帰ったのか。そう思うと、何度も伝えてきた言葉が、また頭に浮かびました。

母の背中と、父の口癖

僕の母は、昔からパートをかけもちしていました。帰ってくるなり台所に立ち、食卓でうたた寝をする姿を何度も見てきたものです。

そんな母に向かって、父はよく「女の給料なんて、たかが知れてる」と言っていました。

その意味も分からないまま、妻をあんなふうに疲れさせない大人になろうと決めていた子ども時代。就職してからは営業成績を積み上げ、収入も同世代の平均を上回るようになりました。

だからこそ、妻が出産後も時短で働き続けると聞いたとき、自分の稼ぎでは足りないと言われたような気がしました。「無理して働かなくていいのに」と何度伝えても、妻は仕事をやめませんでした。

口にしてしまった一言

リビングに戻ってきた妻に、立ったまま画面を指さしました。

「まだやってるの?中途半端に働くくらいなら、家にいてほしいんだけど」

妻はパソコンを閉じて椅子に座り、僕も向かいに腰を下ろしました。何も言わない妻を前にすると、責められているように感じてしまったのです。

「俺の稼ぎで十分やっていけてるだろ。女の給料なんて、たかが知れてるんだし」

言い終えてから、それが父の口癖そのままだったことに気づきました。

1枚の紙に書かれていた数字

妻は席を立つと、棚の引き出しからクリアファイルを取り出しました。中から抜き出した1枚が、僕の前に置かれます。

「これ、先月の分」

給与明細でした。手に取って支給額の欄を見たとき、パート代程度だろうと思い込んでいた自分がはずかしくなりました。時短勤務でも資格手当がつき、金額は僕の予想をはるかに超えていたのです。

「……こんなにもらってたのか」

「全部、積み立ててるよ。娘の将来と、私たちの老後のために」

妻が働いていたのは、家計が足りないからではありませんでした。僕が守っているつもりだった家族の先のことを、妻はもっと遠くまで見ていました。明細から顔を上げられないまま、しばらく数字を見つめていました。

そして...

「ごめん。ちゃんと見ようともしてなかった」

明細をテーブルに戻し、頭を下げました。父と同じ言葉で妻の毎日を軽く扱ったことは、どう言い訳しても取り消せません。

あの口癖の出どころを、妻にはまだ話せていません。

次の給料日、「今月の、俺も見ていい?」と声をかけ、自分の明細を妻の明細の隣に並べました。今は毎月、自分の明細を先にテーブルへ出すようにしています。

(30代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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