1. トップ
  2. エピソード
  3. 別れ際「俺を失ったら終わりだよ」と言った彼→色のある日常を取り戻した理由

別れ際「俺を失ったら終わりだよ」と言った彼→色のある日常を取り戻した理由

  • 2026.10.11
ハウコレ

3年ぶりに陶芸教室へ戻り、友人との旅行も再開した私。楽しい出来事を載せるたびに、ある名前が閲覧者一覧に並ぶようになりました。

合鍵を靴箱の上に置くと、小さな金属音が玄関に響きました。3年付き合った彼の部屋を出るのは、これが最後です。ドアノブに手をかけたとき、背中越しに彼の声が聞こえてきました。

「俺がいないと何もできないだろ」が口癖の彼

付き合い始めた頃の彼は、頼りがいのある人に見えていました。行き先も予定も、いつも彼が決めてくれます。それが心地よかったのは、最初の頃だけだったと思います。

「その服、似合ってないよ」

「友達と旅行?俺はどうするの」

「陶芸なんて意味ある?」

何かを選ぶたびに、彼の一言がついてきました。反論すると決まって返ってくるのが「俺がいないと何もできないだろ」という言葉。言われるたびに、そうなのかもしれないと思い込むようになっていきました。

気づけば通っていた陶芸教室をやめ、友人からの誘いも断るのが当たり前になりました。自分の予定を彼の機嫌で組み立てる毎日に、ある日ふと疲れてしまったのです。

別れ際に吐かれた一言

別れを切り出しても、彼は最後まで取り合おうとしませんでした。玄関で振り返ると、腕を組んで壁にもたれたまま、彼はこう言いました。

「俺を失ったら終わりだよ」

脅すでもなく、笑うでもない。決まりきったことを告げるような口調です。終わるかどうかを決めるのは、彼ではなく私のはず。そう思っても、言い争う気力はもう残っていませんでした。

「そうかもね。じゃあ、元気で」

それだけ言ってドアを閉め、駅までの道を歩きながら、最後まで見下ろすような言葉しか出てこなかった彼に、ため息が1つこぼれました。

3年ぶりのろくろ

別れて最初にしたのは、陶芸教室への連絡でした。先生は「おかえり」と迎えてくれ、3年ぶりにろくろの前へ戻りました。粘土の感触を思い出すまで時間はかかったものの、手のひらで形が立ち上がっていく感覚は昔のままでした。

焼き上がったマグカップは、縁が少し波打ったいびつな形。それでもうれしくて、SNSの24時間で消える投稿に「3年ぶりにろくろを回しました」と添えて載せました。

友人たちに連絡すると、すぐに旅行の計画も決まりました。海沿いの旅館で過ごした2日間の写真には「久しぶりの4人旅」と一言。誰の顔色もうかがわずに笑っている自分が、写真の中にいました。

そして...

何気なく投稿の閲覧者一覧を開いたのは、旅行から帰った翌日のことです。友人たちの名前の間に、見覚えのある名前がありました。彼です。

確かめてみると、陶芸の投稿にも、旅行の投稿にも、毎回彼の名前が並んでいました。ブロックしようかとも考えましたが、やめておきました。見られて困るものは、もう何もありません。

いびつなマグカップにコーヒーを注ぎながら、1つだけ引っかかっています。終わりだと言ったのは彼なのに、どうして毎回見に来るのでしょう。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ