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「俺は聞いてない」と言い続けた俺。妻の連絡ノートを1週間、スマホで撮るだけだった

  • 2026.10.10
ハウコレ

冷蔵庫の扉に貼られたノートの、2本の取り消し線。その下に何を書けばいいのか、ペンを持ったまましばらく迷いました。妻が知らない、最初の1週間の話です。妻には言えないまま、ページを撮るのが毎日の習慣になっていました。

聞いていたのに残らない

妻に何か伝えられるとき、俺は大抵ソファでスマホを見ていました。「うん」と返事はしている。けれど、あとになると本当に覚えていないのです。

だから「俺は聞いてない」と言うとき、嘘をついているつもりはありませんでした。ただ、聞き流していた自分を認めたくなかっただけ。妻に「言ったよ」と返されるたび、首をかしげてやり過ごしていました。

冷蔵庫にノートが貼られたのは、そんなやりとりが何度か続いたあとです。表紙の「連絡ノート」という字を見たとき、責められているように受け取っていました。

撮るだけの1週間

それでも、ビールを取るたびにノートは目に入ります。姉が来る日、ごみの日の変更。読んだだけではまた忘れそうで、スマホで撮っておくことにしました。会社で写真を見返せば、もう取りこぼさずに済みます。

ただ、書き込むことはできませんでした。「了解」と書けば、これまで聞いていなかったと自分で認めることになる。そう思うと、横に置かれたペンを取れなかったのです。カメラロールには、ノートの写真ばかりが増えていきました。

2本線の下

8日目、ページの一番下に、線で消された書き込みがありました。

「どうせ読んでないよね」

2本の線の向こうでも、はっきり読めました。

毎日読んでいても、何も書かなければ、読んでいないのと同じに見える。妻がこれを書いたときと、消したときのことを考えると、写真で済ませていた1週間が急に言い訳のように思えました。ペンを取り、線の下に書きました。

「読んでる」

理由を書き足そうとして、やめました。長く書くほど、また言い訳になる気がしたからです。

そして...

それから、連絡の下に「了解」を書くようになりました。そのうち、会社の近くのパン屋が行列だったことや、エアコンのフィルターを掃除したことも書くように。口で言うには照れくさいことも、ノートなら書けました。妻から「今度そのパン屋、寄ってみて」と返ってきたときは、少し得意な気分でした。

先日、姉がまた来ると妻に言われたときは、スマホを置いて答えました。

「聞いた。ノートにも書いとく」

1冊目は残り数ページ。最後の行に書いた約束どおり、会社の帰りに2冊目のノートを選んでいます。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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