1. トップ
  2. エピソード
  3. 「お弁当、温めますか?」を毎日繰り返していた私。言い間違えた1週間後。再び来店した男性客が笑顔で言ったこと

「お弁当、温めますか?」を毎日繰り返していた私。言い間違えた1週間後。再び来店した男性客が笑顔で言ったこと

  • 2026.10.10

目をつぶっても言えるはずの一言

大学生のころ、私はコンビニでレジのアルバイトをしていました。

店は会社の多い通りに面していて、夕方になると仕事帰りのお客さんで混み合います。

その日は特に忙しく、レジの列がなかなか途切れませんでした。

お弁当やおにぎり、飲み物を次々に読み取り、袋に詰めていきます。

レジの後ろにある電子レンジもフル稼働で、温め終わるのを待つお客さんが何人もいました。

「お弁当、温めますか?」

「はい、お願いします」

このやり取りを、その日も何度繰り返したか分かりません。

数えたことはありませんが、1日100回くらい言っていたと思います。

働き始めて半年。レジの仕事にもすっかり慣れ、決まった言葉なら考えなくても口から出てくるようになっていました。

「次の方、どうぞ!」

目の前の会計をこなしながら、頭の中では温め時間や次のお客さんへの対応を考えていました。

そんなとき、思いがけない言い間違いをしてしまったのです。

「たぶん……食べます」と答えた男性

次にレジへ来たのは、スーツ姿の40代くらいの男性でした。

男性はお弁当をひとつ、カウンターに置きました。

私はバーコードを読み取り、いつものように声をかけました。

「お弁当、食べますか?」

……あれ?

口にした瞬間、何かがおかしいと気づきました。

聞きたかったのは「温めますか?」なのに、なぜか「食べますか?」と言ってしまったのです。

慌てて言い直そうとしたのですが、男性は一瞬きょとんとした顔になりました。

そして、カウンターのお弁当に目を落としてから、少し戸惑った様子で答えたのです。

「えっ? あ、はい。たぶん…食べます」

その返事を聞いた瞬間、笑いがこみ上げてきました。

確かに、お弁当を買うのだから食べるのでしょう。でも、そんなことを店員から真顔で聞かれるとは思わなかったはずです。

私は笑いをこらえながら、慌てて頭を下げました。

「す、すみません!温めますか、でした!」

すると男性も、ようやく私の言い間違いに気づいたようでした。

「ああ、そういうことね!」

男性が笑い出し、私もとうとう我慢できずに吹き出してしまいました。

後ろに並んでいたお客さんからも、小さな笑い声が聞こえました。

「本当にすみません。温めますね」

「はい。温めて、食べます」

男性が笑いながらそう返してくれたので、私はまた笑いそうになってしまいました。

それでも、会計と温めはきちんと済ませ、お弁当をお渡ししました。

男性は最後まで笑顔で、軽く会釈して帰っていきました。

あれほど忙しかったのに、ちょっとした言い間違いで気持ちが軽くなったのを覚えています。

そして翌週の夕方、あの男性が再びお弁当を持ってレジに来たのです。

私が声をかけようとすると、男性はにやりと笑って、先にこう言いました。

「今日も、食べます」

その瞬間、先週の出来事を思い出し、また2人で笑ってしまいました。

何百回も繰り返したはずの言葉なのに、たった一度の言い間違いが、忘れられない接客の思い出になりました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ