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「30年、毎回やってる」チャイムが鳴ると扉を内側から叩く母。父の一言で知った、家族の中で私だけが知らなかった習慣

  • 2026.10.10

チャイムのあと、母が扉を叩いた理由

私が20代で、まだ実家に住んでいたころの話です。

ある休日の昼、居間でくつろいでいると、玄関のチャイムが鳴りました。数日前に母が注文していた荷物が届いたようです。

「はいはい、今行きます」

50代の母は、台所で洗い物をしていた手をふくと、急いで玄関へ向かいました。

私も届いた荷物が気になって、母のあとをついていきました。

ところが、玄関の手前で母が妙な動きをしたのです。

扉の前に立った母は、片手を軽く握ると、扉を内側から叩きました。

コンコンコン。

「はーい、玄関開けまーす」

そして、何事もなかったように扉を開けたのです。

母は配達の人から荷物を受け取り、丁寧にお礼を言って扉を閉めました。

私はその一部始終を、後ろの廊下から見ていました。

えっ、今の何?

チャイムが鳴ったのに、なぜ母まで扉を叩いたのでしょう。

しかも、あまりにも自然な動きだったので、思わず笑いそうになってしまいました。

真顔で答える母と、父が知っていた30年間

「ねえ、お母さん。今、扉を叩いたよね?」

「うん、叩いたけど?」

母は荷物を抱えたまま、不思議そうにこちらを見ています。

「え、なんで?いつもやってるの?」

「いつもやってるわよ。チャイムが鳴ったら叩くの」

「いや、だから、なんで叩くの?」

すると母は、当たり前のことを説明するように答えました。

「だって、いきなり扉が開いたらびっくりするでしょ?今から開けますよって、お知らせしてるの」

その答えを聞いて、私はとうとう吹き出してしまいました。

「あはは!お母さん、そんなことしてたの?」

配達の人はチャイムを鳴らして待っているのだから、突然開けても驚かないと思うのですが……。

それでも母は大真面目。笑っている私を見て、首をかしげるばかりです。

確かに、開ける前にひと声かけるのは親切かもしれません。でも、わざわざ扉まで叩くところが、なんとも母らしく感じました。

その夜、仕事から帰ってきた父にも、この話をしました。

すると父は、湯のみを置いてあっさりと言ったのです。

「知ってたよ。30年、毎回やってる」

「えっ、30年も!?」

驚く私の横で、母は得意そうにうなずいていました。

どうやら、母にとっては昔から当たり前の習慣で、父もずっと知っていたようです。知らなかったのは私だけでした。

それから数年後、私は実家を出て、ひとり暮らしを始めました。

ある休日の昼、部屋のチャイムが鳴りました。

玄関へ向かい、扉の取っ手に手を伸ばした、そのときです。

ふと気づくと、空いているほうの手が握りこぶしになり、扉の前で止まっていました。

「あれ…?」

そこで思い出したのが、あの日の母の姿です。

散々笑っていた私まで、同じことをしかけていたのです。

その夜、母に電話で話すと、うれしそうに笑いながら言いました。

「ほら、やっぱりみんなそうするのよ」

いや、みんながするかどうかは分からないけれど……。

そう言い返そうとして、私もつい笑ってしまいました。まさか母の不思議な癖が、自分にも移りかけるとは思ってもいませんでした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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