1. トップ
  2. エピソード
  3. 女友達の名前を出せなくなったのは大学時代から。彼女の「誰?」に住所と写真で答えた俺

女友達の名前を出せなくなったのは大学時代から。彼女の「誰?」に住所と写真で答えた俺

  • 2026.10.6
ハウコレ

「名前くらい、言えばよかったのに」。幼なじみにそう笑われても、俺にはすぐに名前を出せない理由がありました。彼女に送れたのは、住所と写真だけです。

彼女から届いた「誰?」への返事に、俺は幼なじみの名前を打ち込み、送る前に消しました。

5年ぶりの約束と「昔からの友達」

その日は、高校まで同じ団地に住んでいた幼なじみと、5年ぶりに会う約束をしていました。結婚式の招待状を直接渡したいと、向こうから連絡をくれたのです。

「彼女さんがいるなら、2人で来てね」とも書いてありました。家族ぐるみの付き合いだった俺の両親も招かれている式です。彼女と出席すれば、両親に紹介する初めての場になります。

彼女に送ったのは、「女友達と2人で飲んでくる」だけ。いつもなら相手の名前まで書くのに、この日はそれができませんでした。

結局返したのは「昔からの友達」だけで、届いた「そっか」を見て、足りなかったことは分かっていました。

名前を出せなくなったきっかけ

大学時代、付き合っていた相手に聞かれて、幼なじみの名前を教えたことがあります。数日後、幼なじみから「彼女さんから、連絡しないでって届いた」とメッセージがありました。相手がSNSで幼なじみを探し出し、直接送っていたのです。

俺は相手を止めることも、幼なじみに謝ることもしないまま、連絡は途絶えました。

それ以来、付き合う人に女友達の名前を出せなくなりました。今の彼女がそんなことをする人ではないと分かっていても、名前を送ろうとすると、止まったままのやりとりを思い出してしまうのです。

お店は、彼女の家から歩ける距離の居酒屋を選んでいました。先に幼なじみへ謝り、そのあと彼女を呼んで、招待状を見せながら式に誘うつもりだったのです。

住所に込めて、書けなかった一言

乾杯のあと、あの頃のことを謝り、彼女に名前を言えなかったことも話しました。幼なじみは「これ持って写るから、送ってあげなよ」と笑いました。

まず、お店の住所を送りました。来てほしいという意味です。けれど「来て」と書けば、理由を聞かれます。式のことも両親のことも、名前を言えなかったわけも、メッセージで説明できる気がしませんでした。

続けて、招待状を持った幼なじみの1枚を送り、「心配しないで」と打ちかけて、消しました。

届いたのは、「疑ってごめん。ありがとう」。謝るべきなのは俺のほうなのに、返信を打っては消しているうちに、時間が過ぎていきました。

そして...

しばらくして店の引き戸が開き、彼女が入ってきました。

俺が紹介するより先に、幼なじみは立ち上がって名前を名乗り、頭を下げました。そして俺に向かって、「名前くらい、言えばよかったのに」と笑いました。

にぎやかな店内で切り出す話ではない気がして、俺は彼女に「今度ちゃんと話す」とだけ言いました。

別れ際、幼なじみは彼女に「式で待ってますね」と手を振りました。

彼女の家まで並んで歩くあいだ、ポケットの招待状の角が何度も指に当たりました。返信はがきの出席欄は、まだ空いたままです。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ