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「俺が見てやれるのは出勤前しかない」毎朝6時の練習を譲らない父親。だが、息子が口にした一言

  • 2026.10.5

応援していた男の子の家に立ったゴール

夫と子どもと暮らす住宅地には、車1台が通れるほどの道をはさんで家が並んでいる。

2軒隣には、バスケットボールのチームに入っている中学生の男の子が住んでいた。

朝に走っている姿をよく見かけ、近所でも「がんばってるね」と話題になる子だった。うちの家族も、顔を合わせれば声をかけていた。

今年になって、その家の駐車場にバスケットゴールが置かれた。

それから毎朝6時になると、ドン、ドン、とドリブルの音が響くようになった。

私は「大会もあるのだろうし」と思い、寝室の窓を閉めて過ごしていた。

ところが、外れたシュートが道路へ飛び出し、向かいの家の車に当たることも出てきた。

ある土曜の朝、向かいの奥さんが困った顔で声をかけてきた。

「これで3回目なの。ボールを追って道に出てくるのも、ちょっと怖くて…」

私たちは一緒に男の子の家へ向かった。駐車場の入口まで行くと、40代くらいの父親が出てきた。

「すみません。ボールが、うちの車に何度か当たっているんです」

奥さんが伝えると、父親は車のほうを見てから言った。

「すみません、でも、少し当たったくらいですよね」

私も続けた。

「音も響いているので、せめて朝だけでも、もう少し遅い時間にできませんか」

すると父親は眉を寄せた。

「大会が近いんです。俺が見てやれるのは出勤前しかないんですよ」

そして少し声を強めた。

「朝6時でも自分の家の駐車場ですよ、問題あります?」

後ろでは、ボールを抱えた男の子がうつむいていた。このまま言い合うのも嫌で、私たちはその日は引き下がった。

自治会長が持ってきた一枚

その後、私は自治会長に事情を伝えた。翌日の夕方、自治会長と一緒にもう一度その家を訪ねることになった。

自治会長は、住宅地で以前から配られている生活ルールの紙を父親に見せた。

「この辺では、音の出る活動は朝8時から夕方6時までにお願いしているんです」

父親は黙って紙に目を落とした。

自治会長は続けた。

「それと、歩いて3分ほどの公園のコートなら朝6時から使えます。息子さんががんばっているのは、みんな知っています。練習をやめてほしいわけじゃないんですよ」

しばらく沈黙が続いたあと、後ろにいた男の子が口を開いた。

「父さん、俺、公園でやるよ」

父親は息子のほうを振り返り、少し黙ってから自治会長にうなずいた。

それから道路の向かいにいた奥さんのほうへ顔を向けた。

「車のことは…すみませんでした」

次の朝、自宅前からドリブルの音は聞こえなかった。耳を澄ますと、公園の方角からかすかにボールをつく音がしていた。

試合の日の朝、家の前を通った男の子に、うちの家族で声をかけた。

「がんばってね」

男の子は笑って手を上げた。その隣を歩いていた父親も、こちらに小さく会釈した。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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