1. トップ
  2. エピソード
  3. 「こんな時間にやめてよ」深夜の縄跳びに悩む日々。眠れなかった私が管理会社へ電話した翌日、駐車場に貼られた一枚

「こんな時間にやめてよ」深夜の縄跳びに悩む日々。眠れなかった私が管理会社へ電話した翌日、駐車場に貼られた一枚

  • 2026.10.1

夜中の12時に響く縄の音

私が住んでいるのは、マンションの1階の角部屋だ。

寝室の窓は住人用の駐車場に面していて、普段は車の出入りが見えるくらいの静かな場所だった。

その音に気づいたのは、秋の初め。夜中の12時ごろだった。

ひゅん、たん。ひゅん、たん。

縄がアスファルトを打つ乾いた音が、窓ガラス越しに枕もとまで響いてくる。

(こんな時間にやめてよ)

しばらくすると止まるのだが、ほっとしたころにまた始まる。そんなことが毎晩2度ほど続いた。

翌朝、朝食をとりながら夫に話した。

「昨日もまた聞こえた。夜中に駐車場で縄跳びしてるみたい」

「うちは寝室が駐車場のすぐ横だから、余計に聞こえるんだろうな」

私もそう思った。だからこそ、管理会社に相談したら、近くの部屋から苦情が出たと相手に気づかれるのではないか。

それが気になり、なかなか電話できなかった。

カーテンのすき間から外を見ると、街灯の下で若い男性が黙々と縄を跳んでいた。悪気があるようには見えず、部屋の中まで音が響いていることに気づいていないのかもしれないと思った。

それでも夜中に目が覚める日が続き、私は2週間ほど我慢していた。

全戸のポストに入った一枚

寝不足で家事にも集中しづらくなったころ、私は思い切って管理会社に電話をかけた。

電話に出たのは、40代くらいと思われる落ち着いた声の男性だった。

「夜中の駐車場で、縄跳びの音が毎晩するんです」

そう伝えてから、少しためらって続けた。

「うちは駐車場のすぐ横なので、私が連絡したって分からないようにしてもらえますか」

「分かりました。お名前やお部屋は出しません。全戸へのお知らせという形で対応しますね」

その言葉を聞いて、ようやく肩の力が抜けた。

翌日の夕方、郵便受けを開けると一枚の紙が入っていた。駐車場の入口にも同じ内容のお知らせが貼られている。

「夜10時以降、駐車場での運動やボール遊びなど、音の出る行為はご遠慮ください。建物に音が響きます」

誰かを名指しする言葉も、責めるような表現もなかった。

その夜、12時を過ぎても外は静かなままだった。

次の夜も、その次の夜も、縄がアスファルトを打つ音は聞こえてこなかった。

数日後の夕方、買い物帰りに駐車場の横にある公園を通ると、あの夜に見かけた若い男性が一人で縄跳びをしていた。

男性は私に気づくと縄を止め、首にかけたタオルで汗をぬぐって、小さく会釈した。

「こんにちは」

「こんにちは」

それだけ言葉を交わすと、男性はまた縄を回し始めた。

その夜、私は久しぶりに、目覚ましが鳴るまで一度も起きずに眠れた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ