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「タイヤから白煙が!」高速道路の合流で時速50km、MT教習車を襲った“2速ギア”の恐怖

  • 2026.10.30
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

レンタカーや新しい車に乗ったとき、シフトの場所や形に戸惑った経験はありませんか?ボタンを押すもの、ダイヤルを回すもの、ハンドルの脇にあるもの。車の変速の操作は、ここ数十年で大きく姿を変えてきました。

ただ、形は進化しても、操作ミスという落とし穴は今も変わらないのです。まずは、MT車(マニュアル車)での教習が中心だった時代に、指導員として目にしたひと幕を振り返ってみます。

高速教習で起きたギアの入れ間違い

とある日の高速教習(高速道路を走る教習)でのできごとです。高速教習は基本的に2人で乗る複数教習(2人以上の教習生が同乗する教習)で、AT車を使う教習所が多くありました。

AT車なら、AT免許とMT免許の教習生を同時に予約でき、効率がよいからです。ただ、カリキュラムによってはMT免許の教習生同士で行う教習所もあり、私の勤めていた教習所も一時期はそうしていました。

教習車は加速車線で、交通の流れに合わせて速度を上げている最中でした。2速から3速へ、そして時速50kmほどで4速へシフトアップしようとした、その瞬間のこと。

教習生がレバーを入れたのは、低速用の2速ギアでした。うなるようなエンジン音が響き、強烈なエンジンブレーキがかかりました。車体にはガクンという衝撃が走り、後輪が左右に振られたのです。一瞬ロックして「キーッ」と音を立てたタイヤからは、白煙が!
車内は一瞬騒然となりましたが、私の「クラッチ踏んで!」という指示に教習生が即座に反応し、幸いすぐにクラッチを切ってギアを入れ直し、事故には至らずに済みました。

このときの車両は、トルク(車を押し出す力)が大きいディーゼルエンジンの教習車。半クラッチ(動力を半分ほど伝える状態)の感覚をつかみやすいのが長所です。その反面、エンジンブレーキ(エンジンの抵抗で速度が落ちる働き)も強くかかります。

もし、このときの教習車がガソリン車であれば、白煙が上がるほどではなかったのではないでしょうか。

「焦って力を入れて操作してしまった」

落ち着いてから話を聞くと、教習生は「焦って力を入れて操作してしまった」と言っていました。

MT車のギアは、レバーを前後左右に動かして切り替える仕組みです。基本的なチェンジレバーの場合、力を抜いて真上に上げると3速、真下に下げると4速に入ります。

しかし、先ほどの教習生のように力を入れて急いで操作すると、レバーが斜めに動き、思わぬギアに入ってしまうことも。改めてシフトパターン(ギアの位置を示した図)を確認し、落ち着いて操作する大切さを伝えました。

MT車の教習の方式も変わった

かつては、MT免許を取るなら教習の最初からMT車を運転するのが当たり前でした。令和7年4月からは、普通免許の教習や検定を原則としてAT車(オートマチック車)で行う方式に変わっています。

移行期間の今は、教習課程内でAT車の教習と検定を受けたあと、MT車の教習と審査を受ける形が主流となりつつある状況です。従来の方法で教習を行う教習所も、少しずつ減ってきました。

AT車や新しいシフトにも潜む落とし穴

AT車なら、操作間違いの心配はないのでしょうか?意図と違うレンジ(シフトの位置)に入れてしまう誤操作は、AT車でも起こり得るのです。
最近増えているのが、ボタン式やダイヤル式のシフトを採用した車。車種によって操作方法が大きく違うため、乗り慣れないと戸惑うことがあるかもしれません。
特に注意したいのが、D(ドライブ)とR(リバース)の入れ間違いです。前進するつもりが後退したり、その逆になったりすると、駐車場などでの事故につながるおそれもあります。P(パーキング)に入れたつもりが入っていないケースもあるでしょう。

シフトの形が変わっても変わらない基本

初めての車や慣れない車に乗るときは、シフトの操作方法を事前に確かめておきましょう。切り替えるときは、メーターの表示パネルを確認することも大切です。

久しぶりにMT車を運転する場合も、走り出す前にシフトパターンを見ておくと安心できます。特に6速のMT車は、R(バックギア)の位置が車種によって異なることがあるため注意してください。

最近は、誤発進抑制機能(踏み間違い時の急発進を抑える機能)や、走行中の誤操作を防ぐ機能を備えた車も多くあります。ただし、どんな状況でも防げるわけではないため、機械任せにせず自分の手と目で確かめることが重要です。

チェンジレバーの形がどれほど進化しても、最終的に操作するのは人。焦りや思い込みがあれば、誤操作は起こり得ます。操作の前にワンテンポ置いて確認する小さな習慣こそが、昔も今も変わらない安全運転の基本です。


参考:
AT大型免許等の導入及びMT免許の技能試験等の方法の見直しについて(警察庁)


ライター:ちだてつし
自動車教習所の指導員・技能検定員として、23年間にわたり現場で安全運転の指導・検定を担当。現在はその専門知識と現場での実務経験を活かし、安全運転やドライブテクニックに関するWebライターとして活動中。また、ペーパードライバーや外免切り替えの事業を展開し、運転に自信のないライダーを対象に、実践的なツーリングを通して運転技術を身につける「日本ツーリングサポート協会」を設立・運営。「安全で楽しいカー&バイクライフ」を伝える発信を行っている。日本二輪車普及安全協会の二輪安全運転指導員として活躍中。


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