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「次の車検まで待とう…」整備士の指摘を無視した結果、5万円が“70万円”に…40代男性を襲った誤算

  • 2026.10.30
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

帰省や旅行など、長距離ドライブの予定があるときこそ、普段は気にしていない車のメンテナンスが重要になります。

今回は、筆者の知人である40代男性のKさんから聞いた、タイミングベルトの交換を先送りしたことで、高額修理につながってしまったケースを紹介します。

「まだ普通に走るから大丈夫」と交換を先送り

Kさんは遠方に実家があり、長期休暇になると自家用車で帰省していました。

あるとき、整備工場で点検を受けた際、タイミングベルトの交換時期を迎えていることを指摘されたそうです。

「そろそろ交換したほうがいいですよ」

そう言われて提示された見積もりは、約5万円でした。決して安い金額ではありません。Kさんはそのとき、ほかにも出費が重なっていたことから、

「今月はちょっと厳しいな。次の車検まで待とう」

と、交換を先送りすることにしました。その判断には、もうひとつ理由がありました。普段の運転では、エンジンに特に異常を感じていなかったのです。

タイミングベルトは、劣化していても運転中に必ず異音や振動などの前兆が出るとは限りません。そのため、「普通に走れているなら、もう少し大丈夫だろう」と考えてしまう人もいるでしょう。

また、車の整備に詳しくなければ、「交換を勧められたけれど、本当に今すぐ必要なのか」「営業トークなのではないか」と疑ってしまうこともあります。

帰省途中に突然エンジン停止。再始動できず

その後、Kさんは父親を乗せて、高速道路を利用して帰省することになりました。

出発時には特に問題ありませんでした。ところが走行中、突然エンジンが停止しました。

「えっ、何で止まったんだ?」

Kさんは安全を確保できる場所へ車を移動させ、再始動を試みました。しかし、エンジンはかかりません。父親を乗せた長距離移動中ということもあり、Kさんはロードサービスを手配。車は整備工場へ運ばれることになりました。

点検の結果、原因として判明したのがタイミングベルトの破損でした。タイミングベルトは、エンジン内部でクランクシャフトとカムシャフトの動きを同期させる重要な部品です。ベルトが切れるとエンジンが正常に動かなくなり、エンジン形式によってはバルブなどの内部部品まで損傷する場合があります。

今回のKさんの車では内部の損傷が大きく、エンジン載せ替えを含めた修理が必要になりました。最終的な修理費用は、約70万円に達しました。

「5万円を後回しにした結果、こんなことになるとは思わなかった」

Kさんはそう話していました。

交換時期は「異常が出てから」ではなく事前に確認

タイミングベルトは、外から状態を確認したり、普段の走行だけで交換時期を判断したりするのが難しい部品です。そのため、「異音がしてから」「エンジンの調子が悪くなってから」と考えるのではなく、車種ごとに定められた交換時期を確認しておくことが大切です。

まず確認したいのが、車の取扱説明書やメンテナンスノート、整備記録簿です。前回交換した時期や走行距離が分かれば、次の交換時期を把握しやすくなります。中古車の場合は、購入時にタイミングベルトの交換履歴を確認しておくのもポイントです。履歴が残っていない場合は、販売店や整備工場に車両情報を伝え、交換が必要な時期や現在の走行距離から判断してもらうと安心です。

また、タイミングベルトの交換時には、整備方針によってウォーターポンプなどの関連部品を同時に交換することがあり、見積もりが想定より高くなる場合があります。今回のようにベルトが破損してエンジン内部まで損傷すると、修理費が数十万円規模になるケースもあります。予防としての交換費用も、万が一の修理費用も、車種や損傷の度合いによって大きく変わるため、具体的な金額は事前に整備工場へ確認しましょう。

車のメンテナンスは、故障してから直すだけが目的ではありません。特に交換時期が指定されている部品は、出費のタイミングも含めて早めに計画しておくことが重要です。「5万円は高い」と感じて先送りしたKさん。しかし、帰省先での立ち往生と約70万円の修理費を経験し、「交換時期を守っておけばよかった」と後悔することになりました。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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