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『薬屋のひとりごと』悠木碧×大塚剛央、猫猫と壬氏は“まだ名前のつかない関係”「目指しているところは同じ」

  • 2026.9.29
(左から)悠木碧、大塚剛央 クランクイン! 写真:吉野庫之介 width=
(左から)悠木碧、大塚剛央 クランクイン! 写真:吉野庫之介

後宮を飛び出し、物語はさらに広い世界へ――。10月2日23時より放送されるTVアニメ『薬屋のひとりごと』第3期では、舞台が市井へと移り、猫猫と壬氏を取り巻く人々の思惑も、これまで以上に複雑に絡み合っていく。第1期の放送開始から約3年。長く役と向き合ってきた猫猫役の悠木碧と壬氏役の大塚剛央に、本作が愛され続ける理由や第3期の収録、そして恋愛という言葉だけでは表しきれない、猫猫と壬氏の“まだ名前のつかない関係”について聞いた。

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■人を知っていくこと自体が、ひとつの謎解き

――第1期の放送開始から約3年がたちました。改めて、『薬屋のひとりごと』がこれほど多くの人に愛され続けている理由は、どこにあると思いますか?

悠木:登場人物たちを、いわゆる“キャラクター”としてだけではなく、ちゃんと一人の人間として描いている作品だと思います。「こういう生い立ちなら、こんな性格に育つかもしれない」と、その人がどう形づくられてきたのかを、さかのぼって想像できるんですよね。どの登場人物にも、そこまで思いを巡らせられるだけの奥行きがあるんです。

第3期でも、第1期、第2期で活躍してきた人たちの、さらに深い部分が描かれていきます。知れば知るほど、「だから、あのときあんな行動を取ったんだ」と腑に落ちていく。人を知っていくこと自体が、ひとつの謎解きになっているところも、長く愛されている理由だと思います。

大塚:僕はやっぱり、物語の奥行きや世界観の作り込みに引きつけられるのだと思います。一人ひとりの選択が物語を動かし、その展開の中で、また新しい一面が見えてくる。すべてが別々にあるのではなく、きちんとつながっているんですよね。

物語が進むほど、そのつながりが大きなうねりとなって、作品全体を盛り上げていく。物語と登場人物が互いを引き立て合いながら、どちらの魅力も深まっていくところが、『薬屋のひとりごと』ならではの面白さなのだと思います。

――第3期では、物語の舞台が後宮から市井へと大きく移ります。台本を読んで感じた、物語や登場人物たちの変化を教えてください。

悠木:登場人物たちが、旅をしながら物語が展開していくところは、これまでとの大きな違いだと感じました。これまで華やかであることを求められてきた人たちが、今度は目立たないように振る舞わなければならない。置かれる場所や立場が変わることで、それぞれの見え方も変わってくると思います。

ただ、猫猫自身はそれほど変わっていません。彼女はいつだって状況に巻き込まれ、どこかへ連れてこられる側なので(笑)。私も「今回も連れてこられました」というくらいの感覚で演じています。一方で、作品全体を俯瞰して見ると、物語のスケールや世界の捉え方は大きく変わってきたと感じますね。

大塚:物語としては、第2期から地続きになっています。子翠/楼蘭から壬氏が託されたものをはじめ、第2期に残されたものを受け取るところから、第3期の物語が動き始めます。

壬氏自身も、その皇弟としての立場が明らかになったことで、振る舞いを変えざるを得なくなりました。そこは、第3期における大きな変化だと思います。また、新たな人物だけでなく、これまで登場してきた人たちの活躍も増えていくので、アフレコをしながら「作品の雰囲気がずいぶん変わってきたな」と感じていました。

――舞台が広がることで、登場人物同士の新たな組み合わせも生まれます。第3期の収録で、特に印象に残っている掛け合いはありますか?

悠木:今回は、これまであまり関わりのなかった猫猫と羅半が、がっつり絡む場面があります。二人で話していると、同じ羅の一族ならではの、“血”を感じる独特のテンポがあるんですよ(笑)。その掛け合いが、収録していてすごく楽しかったです。

また、これまで登場していても、「ここからが本番」という人物がたくさんいます。そんな彼らがいよいよ活躍する姿には、「待っていました!」という気持ちもあって。毎回、とても楽しくアフレコに臨んでいます。

大塚:壬氏は直接関わらない場面も多いのですが、僕自身は収録現場にいるので、猫猫が羅半や陸孫たちと一緒に行動する様子を見ていました。これまでにない組み合わせなので、すごく新鮮で面白かったですね。

一方、今回は馬閃が壬氏と行動を共にする場面も多く、彼の活躍が印象に残っています。“面白い”と言うと、少しかわいそうかもしれませんが(笑)。高順とはまた違って、まだ未熟なところもありながら、一生懸命に務めている。その姿から、「やっぱり高順の息子なんだな」と感じられる瞬間もあるんです。親子のつながりが垣間見える場面は、演じていて楽しかったですね。

■恋愛だけでは表せない――“まだ名前のつかない関係”を丁寧に

――ここからは、役と向き合ってきたお二人だからこそ、互いに聞いてみたいことを伺います。まず、悠木さんから大塚さんへ質問をお願いします。

悠木:え! 何聞こう!!! ……大塚さんは、猫猫と壬氏の関係を、どこまで恋愛だと思って演じていますか?

大塚:うわ、難しいな……。演じるうえでの意識とはいったん切り離して、僕個人として二人を見たときには、単純に「恋愛」と言い切れる関係ではないように感じています。

もちろん、そこに恋愛という要素がないわけではありません。でも、それだけでは表せない何かが、二人の間にはある気がするんです。いろいろな作品がある中でも、この二人にしかない関係性だと思うので、「何割が恋愛」と示すのは難しいですね。

悠木:すごく分かります。そう聞いたのは、ファンの皆さんから、二人の恋愛としての進展を期待されているのかな、と感じることがあったからなんです。でも、実際に演じている私たちは、必ずしもそこだけをゴールにしているわけではなくて。「まだ名前のつかない関係を、二人で丁寧に育てていこう」という感覚なんですよね。

もちろん、猫猫だからこそという部分もあると思います。でも、視聴者のみなさんの反応を見ていると「そうか、この関係も“恋愛”という言葉でくくられるんだ」と、少し意外に感じることもあって。改めて大塚さんに聞いてみたかったんです。今の答えを聞いて、目指しているところは同じだったんだなと思いました。

――今のお話を踏まえて、猫猫と壬氏の関係をあえて一言で表すとしたら?

悠木:「猫と飼い主」かな(笑)。

大塚:たしかに(笑)。猫って、「ここは触ってもいいけど、ここを触ると噛まれる」という、“お触りマップ”のようなものがあるじゃないですか。二人にも、そんな距離感がある気がします。

悠木:第3期では、「このくらいまでなら許してもいい」という範囲が少し広がったかもしれません。猫猫の嫌がり方も、以前よりちょっとだけ和らいでいる気がしますね。

――では、大塚さんから悠木さんへ。猫猫について、聞いてみたいことはありますか?

大塚:悠木さんは、猫猫という人物の一番“核”になっている部分を、どう捉えていますか?

悠木:精神的な部分で言うと、「地に足がついていること」だと思います。自分の幸せを、自分の中で完結させられる人なんですよね。猫猫が一人でも生きていけるのは、幸せなことも大変なことも、ある程度は自分で受け止め、折り合いをつけられるから。少女ではあるけれど、そういう意味ではすごく自立した人なんです。そこが彼女の魅力であり、核なのかもしれません。

猫猫自身も、「早く自立して生きていかなければ」と思いながら歩んできたことが伝わってくるので、私も地に足のついた人物として演じられたらいいなと思っています。

お芝居の面では、とにかく“リズム”を大切にしています。猫猫らしい落ち着いたリズムがきちんと出ると、自分の中で物事を受け止められる人にも見えてくる。彼女の生き方と芝居のリズムは、もしかするとつながっているのかもしれない、と思いながら演じています。

――猫猫の“核”について伺いましたが、大塚さんは、壬氏を形づくる“核”をどこに感じていますか?

大塚:壬氏本人が、自分自身をどこまで肯定できているかは別として、彼の生い立ちやこれまでの経験は、何か一つでも欠けていたら、今の壬氏にはならなかったと思うんです。それくらい、歩んできた人生のすべてが彼を形づくっている気がします。

なかでも大きいのは、本人にとっては不本意な部分もあるかもしれませんが、やはり“皇弟”という立場です。その立場によって、人との関係や接し方も変わってくる。猫猫に対する今のアプローチも、彼が背負ってきたものがあるからこそ生まれたのだと思います。積み重ねてきた過去と、今置かれている立場。その両方が、壬氏の核になっているのかもしれません。

また、『薬屋のひとりごと』は、大きな物語の流れの中に、人と人とのやり取りが積み重なってできている作品です。だから僕自身は、その場の空気や相手との掛け合いを大切にしていけば、自然と壬氏にたどり着けるのではないかと思っています。演出で求められるものには寄り添いながら、まずはこの作品の世界に身を委ねる。そうすることで、壬氏という人物も自然に立ち上がってくるような感覚があります。

――第3期まで積み重ねてきたお二人の掛け合いに、「この二人だからこそ生まれた」と感じる芝居の呼吸や、お約束のようなものはありますか?

悠木:それこそ、ギャグシーンの掛け合いには、これまでの積み重ねを感じます。かなりシリアスな場面の直後に、急にコミカルなシーンがやってくることもありますが、その温度をすっと切り替えられるようになりました。そこは、第3期まで一緒に演じてきたからこそだと思います。

大塚:たしかに、それはありますね。『薬屋のひとりごと』がアニメとして完成したとき、どのような演出が加わり、どんなテンポに仕上がるのか。それがこれまでの収録を通して分かってきたので、まだ絵が完成していない状態でも、「きっとこういう仕上がりになるだろうな」と感覚的につかめるようになった部分はあると思います。

あとは、猫猫が頭の中で考えを巡らせているときに、壬氏が「つまり、どういうことだ?」と説明を促す、これまでにもあったやり取りですね。第3期まで来て二人の関係が深まったからこそ、その掛け合いにも変化が生まれている気がします。細かく言葉を重ねなくても、お互いの意図が伝わるようになったというか。二人の間に、そんな自然な空気ができてきたと感じています。

――第3期を楽しみにしているファンの皆さんへ、最後にメッセージをお願いします。

悠木:第2期のラストは、壬氏が皇弟として表舞台に立つ、とても華々しくドラマチックな展開でした。それを見て、「この先、いったい何が起こるんだろう」と思っている方も多いのではないでしょうか。

第3期も、めちゃくちゃ面白いです! しっかりとミステリーを楽しめますし、登場人物たちの関係も、より複雑に絡み合っていきます。明らかになる情報が増えるほど、人物や物語がさらに面白くなっていく。そんな“知る喜び”がたっぷり詰まっています。ぜひ第2期と同じ熱量で、いえ、それをさらに上回る熱量で応援していただけたらうれしいです。

大塚:僕たちは当たり前のように「第3期」と言っていますが、ここまで続けてこられたのは、皆さんが作品を楽しみ、応援してくださったからこそだと思います。第1期から第2期へと盛り上がりが大きくなったように、第3期もさらに多くの方に楽しんでいただけたらうれしいです。

第3期では、第1期、第2期とはまた違う『薬屋のひとりごと』の世界が広がっています。アニメからご覧になっている方はもちろん、原作を読んで展開を楽しみにしている方にも、間違いなく楽しんでいただける作品になっているはずです。第3期、そして劇場版へと、再び皆さんのもとに『薬屋のひとりごと』を楽しむ時間を届けられることをうれしく思います。ぜひ存分に堪能してください。

(取材・文・写真:吉野庫之介)

TVアニメ『薬屋のひとりごと』第3期は、日本テレビ系にて毎週金曜23時から日本テレビ系 30 局ネット FRIDAY ANIME NIGHT にて全国同時放送。放送終了後、各配信プラットフォームでも順次配信予定。

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