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「ダメでした…」整備士の注意を放置した30代男性→父親との帰省中にSAで遭遇した“絶望”

  • 2026.10.28
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

車の不具合を指摘されても、「今は普通に走れているから」と修理を先延ばしにしてしまうことはありませんか?

今回は、筆者の知人である30代男性のWさんから聞いた、始動系トラブルの体験談を紹介します。Wさんは以前からエンジン始動時に違和感を覚えていましたが、修理費用を考えて対応を後回しに。その結果、父親との帰省中、サービスエリアで突然エンジンがかからなくなってしまいました。

「エンジンがかかるから大丈夫」と修理を先送り

Wさんの車は以前から、エンジンを始動するときに「ギュル、ギュル」といった普段とは違う音がすることがありました。そこで一度、点検を受けたところ、整備工場からセルモーターの動作に不具合の兆候があると指摘されたそうです。

「セルモーターの交換をしたほうがいいかもしれない、と言われました。でも、その時点では普通にエンジンがかかっていたんです」

修理費用は5万円前後になる可能性があり、Wさんは交換を先送りすることにしました。もちろん、車の修理にはまとまった費用がかかることがあります。特に故障していない状態で交換を勧められると、「本当に今すぐ必要なのだろうか」「営業トークなのでは?」と考えてしまう人もいるでしょう。

Wさんも、「毎回エンジンはかかっているし、もう少し様子を見てもいいだろう」と判断したといいます。

この時点では、セルモーターの動作が完全に停止していたわけではありません。時々始動時に異音がするなどの兆候があるものの、通常はエンジンを始動できる状態だったため、ただちに走行不能になるような状況ではありませんでした。

父親との帰省中、サービスエリアで突然エンジンがかからない

その後、Wさんは父親を乗せ、遠方へ帰省することになりました。

「出発するときは普通にエンジンがかかったので、やっぱり大丈夫だと思いました」

高速道路を走り、途中のサービスエリアで休憩。問題なく走行できていたため、Wさんも特に心配していなかったそうです。ところが、休憩を終えて再出発しようとしたとき、状況が一変します。

スタートボタンを押しても(またはキーを回しても)セルモーターが作動せず、エンジンが始動しません。

「何回か試してみたんですが、ダメでした。さっきまで普通に走っていたのに、という感じでした」

父親とともにサービスエリアで立ち往生することになり、最終的にはロードサービスを利用して車を搬送することに。点検の結果、原因は事前に指摘されていたセルモーターの不具合でした。

結果的に、当初見込まれていた5万円前後の修理費だけでなく、ロードサービスによる搬送や予定変更など、金銭面以外の負担も発生してしまいました。

「一度かかったから大丈夫」が危険な理由

セルモーターの不具合は、症状が進行するまで「エンジンがかからない」とは限りません。「始動時に普段と違う音がする」「セルモーターの回転が弱いように感じる」「一度で始動せず、何度か操作するとかかる」といった変化が出ることがあります。

ただし、こうした症状はバッテリーが弱っている場合にも起こるため、「セルモーターが原因だ」と自己判断するのは禁物です。バッテリー本体や充電系統なども含めて点検してもらう必要があります。

特に注意したいのが、「今日は普通にエンジンがかかったから問題ない」と考えてしまうことです。始動系の部品は、調子が悪くても一時的に正常に動作することがあります。だからこそ、異音や始動時の違和感が何度か発生しているなら、「一度だけだったから」と放置せず、再発した時点で点検を受けることが大切です。

また、遠距離の旅行や帰省を予定しているなら、普段以上に慎重に確認したいところです。自宅の近くならトラブルが起きても整備工場へ相談しやすいですが、遠方のサービスエリアや知らない土地でエンジンが始動できなくなると、自力で対応するのは難しくなります。修理費用が気になる場合も、いきなり交換を決めるのではなく、「今すぐ対応が必要なのか」「どの程度の期間なら様子を見られる可能性があるのか」「再発した場合はどうすればいいのか」を整備工場に確認しておくとよいでしょう。

車の不具合は、壊れてからではなく、「いつもと違う」と感じた段階で点検を受けることが、結果的に余計な負担を抑えることにつながるのかもしれません。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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