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「あと100万円、なんとかならない?」60代女性が断熱材を減額した結果→建替え後に痛感した“想定外の代償”

  • 2026.10.17
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、元注文住宅営業マンのホリカワです。

朝晩が冷え込み、暖房を使い始める季節が目の前に迫っています。この時期になると思い出すのが、15年ほど前、営業をしていたころに担当した建て替えのお客さまです。

見積書を前に「少しでも安く」と願うのは、家づくりでは自然なことです。ただ、そのお客さまの家で私が教わったのは、「減額で軽くなるのは、あくまで見積書の数字」だということでした。

住み始めてからの光熱費まで、同じように軽くなるとは限らないのです。

「あと100万円、なんとかならない?」から始まった断熱の見直し

相談に来られたのは、冬に底冷えする地域にお住まいの60代の女性です。間取りのプランと見積書を見て言われたのが「あと100万円、なんとかならない?」でした。

しかし、もともとムダを省いたミニマルな間取りで、床面積は削れません。

値段だけを下げるのも難しい状況でした。なぜなら、勤めていた建築会社は、はじめから値引きを前提にしない適正価格で見積もっていたからです。

断熱仕様の見直しによるコストダウン

そこで、断熱の仕様(断熱材・工法・窓)を見直す案をお伝えしました。コストを下げるために、断熱の性能を抑える案です。

というのも、私が勤めていたのは断熱にこだわる建築会社で、性能を抑えたとしても、Q値(家から逃げる熱の量を表す、断熱性能の数値)は当時の標準的な住宅よりよかったのです。

一方で、気がかりもありました。見直した後の家は、見学にお連れしていたOBさま邸(先に建てたお施主さまの家。会社の標準の仕様)より、暖かさが劣るはずだったからです。

見学先では、夏と冬の光熱費が以前の住まいより月々数千円安くなったという話も聞いていました。

見直しで断熱の性能が下がることを理由に添えて、「見学した家より、冬は寒いかもしれません」とお伝えしました。

後から直しにくいからこそ学んだ、コストダウンの代償

その後、減額案で進めることになり、家は完成しました。

住み始めてしばらく経ったころの定期訪問で感想をうかがうと、「想定より寒い」とのことでした。

問題はそれだけではありません。光熱費も「見学先で聞いた話ほど下がっていない」とおっしゃるのです。

断熱材や窓に後から手を加えるには、大きな費用がかかります。減額のために断熱を見直した家でそれをお勧めするのは現実的でなく、定期訪問ではお話をうかがうことしかできませんでした。

また、当時の勤め先には事前に光熱費を試算する仕組みがなく、見直しによる光熱費の差を数字でお示しできていませんでした。

それでも、光熱費にどれほど影響するのか、お施主さまと一緒に慎重に見極めるべきだったと痛感しています。

見学した家が、暖かさと光熱費の「ものさし」になっていた

振り返ると、見学したOBさま邸は、暖かさと光熱費の両方のものさし(参照点)になっていました。仕様を見直して家が変わっても、ものさしは見学した家のまま残ります。

家の省エネ性能の差は、光熱費にするとどれほどになるのでしょうか。国土交通省が東京23区などの戸建住宅で試算しています(2022年11月時点)。

この試算によると、省エネ基準ぎりぎりの家とZEH水準(断熱と省エネ設備の性能を高めた水準)の家では、年間で約4.6万円の差が出るとされています。

この差が20年続けば、90万円を超える計算です。

断熱と設備の両方を含めた一般的な比較なので、あの家にそのまま当てはまる数字ではありません。

それでも、住み心地も含めて考えれば、あの減額の意味をもう少し丁寧に説明できていたのではないかと思います。

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減額の案が出たら、見直す前と後の光熱費を並べてみる

仕様を見直す提案をするなら、見積金額以外の影響まで示すのが、建築会社としては理想です。

一方で、施主にもできることがあります。まずは、減額後の仕様に近い家を見学できるか、担当者に確認してみてください。

そしてもう一つ、見落とせないのが光熱費への影響です。

今の建築物省エネ法が建築士に求めているのは、設計のときに省エネ性能を説明するよう努めることです。光熱費の金額を示すことまでは定めていません。

だからこそ、仕様変更の前と後の光熱費の試算まで示してくれるかどうかは、会社選びの判断材料になるでしょう。

示してもらえたら、「今浮く建築費」と「10年、20年で増える光熱費」を同じ紙に書き並べ、天秤にかけてみてください。本当に削ってよい仕様なのかが見えてきます。

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その減額は値引きか、建材の見直しかを確かめる

減額のお願いをしたら、それが単なる値引きによるものか、それとも建材の見直しによるものかを、担当者に聞いて確認したいところです。

もしも建材を見直すなら、住み心地と光熱費がどう変わるかを示してもらってから、採否を決めてほしいと思います。それが、20回目の冬も「想定どおり」と思える家づくりにつながるはずです。


参考:
年間の光熱費も節約できる!(国土交通省)
建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(e-Gov法令検索)


ライター:ホリカワ ダット
注文住宅の建築会社に営業職として従事したあと、SEOライターとして独立。500組以上の家づくり相談に携わった経験をもとに、「マイホーム取得を少しでもラクに」をテーマに、住宅ジャンルの記事を幅広く執筆中。インテリアコーディネーター/1級カラーコーディネーター(商品色彩)資格保有。


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