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「俺が正しい」で終わる彼のメッセージに、私が足した一文

  • 2026.9.29
ハウコレ

洗い物の途中で、テーブルのスマホが一度だけ震えました。拭いた手で開くと、彼からの長いメッセージが画面いっぱいに並んでいます。最後の1行を読んだところで、私は蛇口を止め忘れていたことに気づきました。

連休の温泉を提案しただけだった

同棲して2年になる彼とは、来年の引っ越しに向けて貯金をしている最中です。外食を減らし、旅行もやめて、2人で決めたことでした。ただ、その「2人で決めた」が、いつからか私だけの我慢になっている気がしていました。

残業続きの彼が帰ってこない部屋で、私は思い切って送りました。

「連休、温泉行きたい。予約しちゃっていい?」

既読はすぐにつきました。返事はひとこと。

「今は無理。引っ越し貯金優先って決めたよね」

「決めたけど、ずっと我慢はきついよ」

そう返してから、私はスマホを裏返して洗い物に戻りました。

画面いっぱいの正論

次に届いたのが、あの長い1通でした。

「去年も直前で予定崩れて無駄になっただろ。今回だって残業で行けるか分からない。無理して行って疲れて喧嘩するくらいなら、やめておく方がいい。俺が正しい」

言っていることは、たぶん全部その通りです。去年のキャンセル料も、彼の残業も、事実でした。それでも私が引っかかったのは、内容ではなく最後の1行でした。正しいかどうかを、こちらに確認もせずに決めてしまう書き方です。

私が足した一文

言い返す言葉を全部消して、私は1つだけ残しました。

「うん、正しいよ」

送ってから、既読がつくまでの間、画面の文字を何度も読み返しました。喧嘩に勝ちたいわけではなかった。ただ、正しさの向こう側にいる彼と、同じ部屋で話がしたかっただけでした。

既読はつきました。返事は、なかなか来ませんでした。

そして...

「今から帰る」

その短い1通のあと、玄関のチャイムが鳴りました。彼はコンビニの袋を下げたまま、靴も脱がずに言いました。

「ごめん。正しいって書いた時点で、もう負けてた」

「知ってた」

袋の中身はプリンが2つ。温泉の話は、そのあとで改めてしました。行けるかどうかはまだ分かりません。それでも、決めるのが2人になっただけで十分でした。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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