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「塀の内側もうちの土地なんです」相続した隣人が持ってきた古い公図。私たちが25年前の書類を探した理由

  • 2026.9.29

塀の前で広げられた明治の地図

わが家と隣の家のあいだには、ブロック塀があります。25年前にこの家を建てたとき、夫と私が工事を頼んで作ったものです。

現在の隣家のお父様がその家を買い取ったのは、20年ほど前でした。

お父様とは塀越しに野菜を分け合うような付き合いで、境界について何か言われたことは一度もありませんでした。

そのお父様が亡くなって半年ほどたった日曜の午後、インターホンが鳴りました。

玄関先にいたのは、家を相続した息子さんと土地家屋調査士の男性でした。

「境界のことで、ちょっと確認していただきたいことがありまして」

塀の前へ行くと、息子さんが筒から大きな紙を取り出しました。

写しには、細い線と古い文字が並んでいます。

「これ、明治の地図なんです。ここを見てください」

息子さんは線の一か所を指さしました。

「明治の地図では、塀の内側もうちの土地なんです」

私がすぐに返事をしないでいると、息子さんはもう一度同じ場所を指しました。

「何度見ても、塀の内側もうちの土地なんですよ」

突然そう言われても、私には判断できません。

「分かりました。でも、今日はお返事できません。こちらでも一度確かめます」

そう伝えて、その日は帰ってもらいました。

夜、仕事から戻った夫に事情を話すと、夫はしばらく考えたあと、押し入れの奥にしまってあった箱を取り出しました。

25年前の書類に残っていた記録

箱の中には、塀を作った当時の工事関係の書類が残っていました。

その中には、当時の隣人と境界を確認し、双方が署名した確認書もありました。

「これ、残しておいてよかったな」

夫の言葉に、私もようやく少し気持ちが落ち着きました。

ただ、古い書類だけでこちらが正しいと決めつけるわけにもいきません。

私たちも土地家屋調査士に相談し、現地を見てもらうことにしました。

調査士は確認書や当時の測量記録を見ながら、塀の周辺も確認しました。

「古い地図だけで判断するのではなく、こうした資料や現地の状況も合わせて確認していく必要があります」

それから2週間ほどして、息子さんが再び調査士の男性とやってきました。

私は25年前の確認書と測量の記録を用意して、塀の前で二人に見せました。

「こちらには、塀を作ったときの書類が残っています。まず、これも確認していただけますか」

相手の調査士は書類を受け取り、署名や数字を順番に確認していきました。

息子さんも横からのぞき込みます。

しばらくして、私はもう一度伝えました。

「私たちだけでどちらが正しいと決めるつもりはありません。必要なら、専門家を通してきちんと確認しましょう」

息子さんは少し黙ったあと、手元の地図を見ました。

「……分かりました。こっちでも、もう一度確認します」

そう言って、地図を筒へ戻しました。

それ以来、境界について改めて何か言われることはありませんでした。

ゴミ出しの朝に顔を合わせると、息子さんのほうから軽く会釈をしてくることもあります。

塀は今も、25年前と同じ場所に立っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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