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「ここはオレの席だ」と4人席を独占する男性。だが、混み始めた電車で若い乗客が口にした言葉

  • 2026.10.30
「ここはオレの席だ」と4人席を独占する男性。だが、混み始めた電車で若い乗客が口にした言葉

足を上げたままのボックス席

当時20代だった私は、地方の町に住んでいた。

その日は日曜の午前中で、遠くの街まで電車で移動する予定だった。

乗ったときの車内はまだ空いていて、窓の外には田んぼが続いていた。

4人がけのボックス席には、50代くらいの男性が一人で座っていた。荷物を隣に置き、向かいの座席には足を上げている。ほとんど4席を一人で使っているような状態だった。

私はその近くの補助席を下ろして腰かけた。

次の駅で、紙袋を提げた女性が乗ってきた。女性がボックス席の空いている場所へ座ろうとすると、男性が突然声を張り上げた。

「空いてるんだから、ほかに座れよ」

車内の視線が一斉に集まった。女性は驚いたように立ち止まり、何も言わずにドアの近くへ移っていった。

私も声をかける勇気はなく、膝の上のかばんへ目を落とした。

長い移動になるので、せめて今座っている席にはそのまま座っていたかった。

ところが次の駅でも、その次の駅でも、ボックス席へ座ろうとした人に男性は「他にいけよ」と怒鳴った。

 

駅に止まるたびに乗客は増え、つり革につかまって立つ人も出てきた。それでも男性は荷物を隣に置き、向かいの席には足をのせたままだった。

あとから乗ってきた男性が立ち止まった

さらに人が乗ってきた駅で、リュックを背負った若い男性がボックス席の前で立ち止まった。

それまでのやり取りを知らない若い男性は、座席にのせられた足を見て少し戸惑ったようだった。

「すみません。ここ、座ってもいいですか?」

すると男性は、また不機嫌そうに答えた。

「ここはオレの席だ。見れば分かるだろ」

若い男性は一瞬黙ったあと、落ち着いた声で言った。

「でも、ここって4人が座る席ですよね」

男性が眉をひそめた。

「オレが先に座ってたんだよ!」

「先に座っていても、全部は使えないんじゃないですか」

若い男性は怒鳴り返すこともなく、ごく普通の調子で話していた。周囲に立っていた人たちも、黙って二人のやり取りを見ていた。

男性は何か言い返そうとしたものの、しばらくすると向かいの座席から足を下ろした。続いて、隣に置いていた荷物も自分のほうへ引き寄せた。

「……座れば」

若い男性は「ありがとうございます」と短く答え、向かいの席へ座った。

すると、先ほどドアの近くへ移っていた紙袋の女性も空いた席へ戻った。さらに、近くで立っていた二人のうち一人も残った席へ腰を下ろした。

気づけば、4人がけの4席すべてに人が座っていた。

最初から座っていた男性は腕を組んで窓のほうを向き、それ以上は何も言わなかった。

大声で言い返したわけでも、相手を責め続けたわけでもない。それでも、当たり前のことを落ち着いて伝えた若い男性の姿が、妙に印象に残った出来事だった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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