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「引け、ひ〜け、当たり引け」PTA役員くじで笑う保護者。だが、会長が静かに伝えたこと

  • 2026.9.26
「引け、ひ〜け、当たり引け」PTA役員くじで笑う保護者。だが、会長が静かに伝えたこと

双子のため、私だけ2回引くことに

わが家の子どもは双子で、その年は二人そろって小学6年生でした。

進学先の中学校ではPTA役員をくじ引きで決めることになっていて、年末になると対象の保護者が公民館に集まります。

前の机には、二つ折りの紙が入った袋が置かれていました。紙には〇か×が書かれていて、保護者が一人ずつ前へ出て引いていきます。

その場では子ども一人につき1回引くことになっていたため、双子の母親である私は2回引くことになっていました。

司会をしていたPTA会長が、前に立って名簿を順番に読み上げます。

「では、次の方。前へお願いします」

名前を呼ばれ、私は袋の前に立ちました。

緊張しながら手を入れようとした、そのときです。後ろの列から突然、手拍子が聞こえてきました。

「引け、ひ〜け、当たり引け」

振り返らなくても、声の主は分かりました。顔見知り程度の、同じ学年の保護者です。

その人は笑いながら、もう一度同じ調子で繰り返しました。

「引け、ひ〜け、当たり引け」

さらに、「双子だから2回引けるなんて得ね」と笑います。

周りから大きな笑いが起きることはありませんでした。近くの保護者たちは資料に目を落としたままで、さっきまでざわついていた会場が、急に静かになったように感じました。

会長が静かに止めた手拍子

するとPTA会長が名簿から顔を上げ、後ろの列へ向き直りました。

怒った様子ではありません。ただ、はっきりとした声でした。

「すみません。皆さん静かに引いていますので、お声がけはご遠慮ください」

手拍子が止まりました。

けれど、その保護者は少し笑いながら言いました。

「えー、ちょっと盛り上げただけじゃないですか」

会長は声を荒らげることなく、もう一度伝えました。

「お気持ちは分かりますが、お声がけはご遠慮ください」

その人は何か言いかけましたが、結局それ以上は続けませんでした。隣に座っていた人も前を向いたままです。

会長は私のほうへ向き直りました。

「お待たせしました。どうぞ」

私はようやく袋に手を入れ、1枚目を引きました。開くと×です。

続けて2枚目も引くと、こちらも×でした。

「2回とも×ですね。ありがとうございました」

「ありがとうございました」

席へ戻る途中、さっき声を上げていた保護者と目が合いそうになりましたが、向こうが先に視線をそらしました。

次に呼ばれたのは、その保護者だった

会長は何事もなかったように名簿へ目を戻し、次の名前を読み上げました。

呼ばれたのは、さっき手拍子をしていた保護者でした。

「次の方、お願いします」

その人は黙って立ち上がり、袋の前まで歩いていきました。

今度は、誰も手を叩きません。誰も声をかけませんでした。

会場は静かなまま、その人が二つ折りの紙を開くのを待っていました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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