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「若いんだから席を譲るのが普通だろ」電車で体調の悪い女性に迫る男性。だが、隣の会社員が返した一言

  • 2026.9.24

夕方の車内に響いた強い声

去年の春、仕事帰りの夕方に地下鉄に乗った。帰宅ラッシュの車内はかなり混んでいて、つり革もほとんど埋まっていた。僕はなんとか1本をつかみ、二人がけの席の横に立っていた。

その席の窓側には20代くらいの女性が、通路側にはワイシャツ姿の会社員の男性が座っていた。

女性の正面には、スーツ姿の男性が立っていた。

電車が動き出してしばらくしたころ、そのスーツの男性が急に女性を見下ろして口を開いた。

「若いんだから席を譲るのが普通だろ」

「すみません、体調が悪くて」

消え入りそうな声だった。けれど男性は聞こえなかったかのように、さっきより強い声で同じ言葉をくり返した。これで2度目だった。

「若いんだから席を譲るのが普通だろ」

「最近の若いのは、本当に」

周りの乗客が一瞬ざわついたが、誰も口を挟まなかった。女性の顔は青白く、額にはうっすら汗がにじんでいる。膝の上のかばんを抱えるようにして、じっとうつむいていた。

隣の会社員が静かに返した一言

何か言わなければと思いながら、僕は言葉が出てこなかった。

そのとき、女性の隣に座っていた会社員の男性が、手元の書類を閉じて顔を上げた。

「この方、さっきから具合が悪そうでしたよ。座っている理由があるんです」

声は大きくなかった。けれど、はっきりと周りに届く声だった。スーツの男性が何か言い返そうとしたので、僕もつり革を握り直して続けた。

「僕も見てました。乗ったときから、ずっとつらそうでしたよ」

「いや、俺はただ」

男性が言いかけたところで、近くに立っていた年配の女性が、かばんから水のペットボトルを取り出して女性に差し出した。

「まだ開けてないから、よかったら飲んで」

女性は小さく頭を下げて受け取った。スーツの男性は周りを見回し、それきり口を閉じた。次の駅でドアが開くと、人の流れに乗るようにして、黙って別の車両のほうへ移っていった。

ドアが閉まってから、女性は座ったまま、会社員の男性と僕に小さく頭を下げた。いくつか先の駅で、女性はペットボトルを握ってゆっくり立ち上がった。

会社員の男性が、その背中に短く声をかけた。

「気をつけて」

家に帰って、夕飯を食べながら妻にこの話をした。

「若い人に席を譲らせようとしたんだ」

「それで、あなたは何か言えたの」

「2番目にね。隣の人が先に言ってくれたから、僕も続けられたんだ」


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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