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「今日も採れすぎちゃって」野菜をくれる親切なパート仲間。だが、思わず距離を置いたワケ

  • 2026.9.24
「今日も採れすぎちゃって」野菜をくれる親切なパート仲間。だが、思わず距離を置いたワケ

助手席の窓を叩く音

パート先でその人と顔見知りになったのは、4年前の春でした。私より二十ほど上の60代の女性で、休憩室で会うたびに野菜の入った小さな紙袋をくれました。

「これ、よかったら持って帰って。うちの畑で採れたの」

「え、またいいんですか? 子どもが喜びます」

「いいのよ。うちだけじゃ食べきれないから」

親切な人だと思っていましたし、そのころは特に気になることもありませんでした。

変わったのは、去年の梅雨に入ったころです。

雨の朝、私は自転車をやめて車で出勤しました。いつもより少し早く着き、駐車場でエンジンを切った直後でした。

コンコン、と助手席の窓を叩く音がしました。

驚いて横を見ると、その人が笑っています。

「おはよう。今日は早かったね」

「あ、おはようございます。今日は車で来たので」

「そうなの。ほんと今日は早かったね」

同じことを二度言われ、私は曖昧に笑いました。

普段の出勤時間を覚えられていたことが、なぜか少し引っかかりました。

その日の夜、夫にも話しました。

「今日ね、『今日は早かったね』って二回も言われたの」

「たまたま見かけたんじゃない?」

「そうだと思うんだけど…いつも何時に来てるかまで見られてるのかなって」

「気になるなら、少し距離置いたら?」

私も、そのときは考えすぎだと思うことにしました。

話していないはずの休み

ところが、しばらくしてまた気になることがありました。

翌日の午後に用事ができ、その日の午前中、店長に休ませてもらえないか相談しました。

その人には何も話していませんでした。

仕事を終えて帰ろうとしたとき、その人がいつものように野菜の袋を持って近づいてきました。

「これ、持って帰って。今日も採れすぎちゃって」

「ありがとうございます」

袋を受け取ると、その人は何気ない顔で言いました。

「明日、午後からお休みなんでしょ?」

思わず顔を上げました。

「…え? あ、はい」

「いいわね。たまにはゆっくりしてきなさいよ」

「そうですね……」

どうして知っているのか聞こうか迷いましたが、言葉が出ませんでした。

店長との話がどこかで耳に入っただけかもしれません。それでも、駐車場での出来事を思い出すと、胸の奥がざわつきました。

その人が嫌がらせをしてくるわけではありません。会えばいつも通り笑顔で、野菜も分けてくれます。

だからこそ、私もどう距離を取ればいいのか分かりませんでした。

それから私は、自分のシフトや予定を職場でなるべく話さないようにしました。

そしてある朝、いつもの場所を避け、初めて建物の裏側の空いている列に車を停めました。

裏口へ向かうと、ちょうどその人が勝手口の近くにいました。

私を見るなり、いつもの笑顔で片手を上げます。

「おはよう。今日はこっちに停めたのね」

「……はい」

「いつものところに車がないから、今日はまだ来てないのかと思った」

悪気のない口調でした。

それでも私は、うまく笑い返せませんでした。

親切にしてもらったことは、今でもありがたいと思っています。ただ、自分では意識していなかった毎日の行動を誰かに細かく覚えられていることが、こんなにも落ち着かないものなのだと知った出来事でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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