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夫のスマホに浮かんだ「本日14時、面接」→転職を隠していた訳は、私の実家の近くの求人でした

  • 2026.9.21
ハウコレ

問い詰める文を消して送った短い問いに、夫から返ってきたのは言葉ではなく1枚の画像でした。勤務地の欄に並んでいたのは、私のよく知る町の名前でした。

シャワーの音が続く洗面所の向こうで、テーブルに置いたままの夫のスマホが一度だけ震えました。拾い上げるつもりはなかったのですが、画面の端に浮かんだ通知が、そのまま目に入ってきました。書かれていたのは、予定の名前と時刻だけでした。

予定の名前を、私は口にしませんでした

通知には「本日14時、面接」とありました。夫は営業職で、結婚して4年、転職の話は一度も出たことがありません。髪を拭きながら出てきた夫はいつもの背広を着て、いつもと同じ「いってきます」を残して玄関を出ていきました。私は洗い物をしながら、通知の文字を頭の中で何度も読み返しました。聞けば済むことでした。それでも、聞いた先に何が出てくるのかを想像すると、食器の水を切る手だけが動いていました。

既読がつくまで、何度も打ち直した問い

職場に着いてから、私は「今日、帰りは何時くらい?」とだけ送りました。返事は数分で「少し遅くなるかも」と届き、そこまではいつもどおりでした。予定の時刻を過ぎてから送った「お疲れさま。今どこ?」には、既読がつきませんでした。画面を伏せては裏返し、その繰り返しで休憩が終わりました。今頃、知らない会議室で名前を呼ばれているのだろうか。それとも、私に言えないような場所なのだろうか。悪いほうの想像ばかりが先に立ちました。既読がついたのは、退勤の支度を始めたころでした。私は問い詰める文を打っては消し、最後に残ったのは「面接、どうだった?」の短い問いだけでした。

勤務地の欄にあった、見慣れた町の名前

入力中の表示が出ては消え、また出ては消えました。届いたのは「見たんだ」。続けて「隠しててごめん。帰ってから話す」。私は「今、教えて」と返しました。次に来たのは言葉ではなく、1枚の画像でした。求人票の写真でした。「勤務地のところ、見て」と添えられた欄に並んでいたのは、私の実家がある町の名前でした。父が店を畳んでから、両親は2人だけで暮らしています。もっと帰れたらいいのに、と私が口にしたのは、たぶん3度や4度ではありません。画面の上で「お義父さんとお義母さんの近くに住めたらと思って」の文が続きました。私は「帰ってきてから聞く」とだけ返し、スマホを鞄の底に入れました。

そして...

玄関で靴を脱ぐ夫に、私は「なんで黙ってたの」と聞きました。夫は「言ったら、無理しなくていいって言われる気がして」と答え、少し間を置いて「言ってくれるのがわかってたから、逃げ道にしそうで」と続けました。今日は休みを取って、向こうの町まで電車で行っていたそうです。結果は来週だと言いました。私は「私にも、選ばせてほしかった」と言い、通知を見たのはシャワーの間だったこと、聞けばよかったのに一日中悪いほうに考えていたことを、そのまま話しました。求人票の画像は、まだ消していません。実家にも、何も伝えていません。夫が10年いた会社を離れる形が正しいのか、私にはまだ答えが出ていないからです。

(30代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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