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「え?なんで俺やねん」と電車で席を譲らなかった若い男性。気まずい車内で、向かいの年配の男性が立ち上がった

  • 2026.9.21
「え?なんで俺やねん」と電車で席を譲らなかった若い男性。気まずい車内で、向かいの年配の男性が立ち上がった

優先席で動画を見ていた男性

20代のころ、私は毎朝電車で職場へ通っていた。その日は座れず、つり革をつかんで優先席の近くに立っていた。

優先席の端には、私と同じくらいの年の若い男性が座っていた。大きなヘッドフォンをつけ、手もとの画面で動画を見ていた。

途中の駅で、お腹の大きな女性が乗ってきた。バッグにはマタニティマークが揺れていて、女性は手すりにつかまりながら、若い男性が座る席の前に立った。

男性は一度だけ顔を上げ、女性のお腹のあたりに目をやった。しかし、すぐに画面へ視線を戻した。

しばらくして、妊婦さんのそばに立っていた年配の女性が、遠慮がちに男性へ声をかけた。

「あの、すみません。もしよかったら、席を代わってあげてもらえませんか?」

男性はヘッドフォンを片耳だけ外し、眉を寄せた。

「え?なんで俺やねん」

年配の女性は少し戸惑いながら、妊婦さんのほうを見た。

「お腹も大きいし、立ってるの大変そうだから…」

すると男性は、今度は少し強い口調で言った。

「いや、だから、なんで俺やねんって」

そう言うと、ヘッドフォンを耳に戻し、また画面を見始めた。

年配の女性はそれ以上言えず、困ったように口を閉じた。

妊婦さんは申し訳なさそうに首を振った。

「大丈夫です。声かけてくださって、ありがとうございます」

向かいの席から立ち上がった人

車内には、なんとも言えない気まずい空気が流れた。

私も何か言ったほうがいいのだろうかと思ったが、結局、つり革を握ったまま動けなかった。

そのとき、向かいの座席に座っていた年配の男性が、読んでいた新聞をたたんだ。

静かに立ち上がると、妊婦さんに声をかけた。

「よかったら、ここ座ってください」

妊婦さんは驚いたように顔を上げた。

「えっ、でも…大丈夫ですか?」

「大丈夫、大丈夫。私は立っていられるから」

「でも、申し訳ないです」

「いいんですよ。どうぞ」

年配の男性が笑って席を示すと、妊婦さんは「ありがとうございます」と頭を下げ、ゆっくり腰を下ろした。

男性は「気にしないで」と短く返すと、そのまま近くのつり革につかまった。

その様子を見た若い男性が、ふと画面から顔を上げた。

年配の男性と妊婦さんを交互に見るようにしてから、少し落ち着かない様子で再び画面へ目を落とした。

次の駅に着くと、若い男性は何も言わずに席を立った。そのままホームへ降り、別の車両のほうへ歩いていった。

空いた優先席には、先ほど席を譲った年配の男性がゆっくりと腰を下ろした。

誰かが大声で注意したわけでも、言い負かしたわけでもない。

それでも、自分の席を静かに譲った男性の姿が、あのときの私には何より印象に残った。

「なんで俺やねん」と2度言い返した言葉よりも、何も言わずに立ち上がった人の行動のほうが、ずっと強くその場に残っていた気がする。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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