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「今日はこちらです」と注文を変えた私。3年通った客が来なくなって気づいたこと

  • 2026.9.18
ハウコレ

3年通ってくださるお客さまは、帰るたびにカップと皿をカウンターの端まで運んでくれていました。私はいつからか、その気遣いに応えることと、自分が選んだものを出すことを同じにしていました。

常連なら喜んでくれると思っていました

席が6つだけの店を1人で切り盛りしています。自分の店では、その日に状態のよいものがあれば、お客さまへすすめることも接客の1つだと考えていました。

3年前から通ってくださる方がいます。いつも同じ席に座り、帰るときにはカップと皿をカウンターの端まで運んでくださる方です。

何度も来てくださるうちに、この方なら自分が選んだものも喜んでくださる。私はそう決めつけるようになっていました。

すすめることと、注文を勝手に変えることの境目を、自分に都合よく考えていたのです。

汗を見て、冷たいほうがいいと決めました

暑い日にお客さまが店へ入って来て、ハンカチで首筋の汗を押さえているのが見えました。

席に着いたお客さまは「ホットをお願いします」と注文しました。それなのに私は、冷たいほうが喜ばれると考えて、氷の入ったグラスを用意しました。

温かいものが欲しいと言われる。それは注文を聞いた時点ですでに分かっていたはずです。それでも、自分が選んだものを出すほうが気が利いていると思っていました。

2週間ほどあとには、紅茶の注文を受けながら、その日に入った豆でコーヒーを出しました。私はその豆で淹れたコーヒーを飲んでもらいたいと思っていました。

「紅茶を頼んだつもりだったんですが」

そう言われても、私は「今日はこちらです」としか答えませんでした。それ以上説明せず、カウンターを拭き始めました。

伝票に書いた600円

会計で伝票に書いたのは600円でした。お客さまが頼んだ紅茶なら500円です。

実際に出したコーヒーの値段を書くことしか考えていませんでした。甘い考えなのは分かっています。ですが、実際に出したものの値段を払ってもらうことに疑問を持っていませんでした。

そして...

それから、あの席にその方が座ることはなくなりました。

今は、お品書きの余白にその日のおすすめを書いています。出したいものがあっても先に説明し、注文を受けたら復唱してから用意するようにしました。

あの日の100円は封筒に入れ、レジの引き出しに残しています。返す機会が来るかは分かりません。3年通ってくださったことを理由に、相手の注文まで自分が決めてよいと思った、その代金として置いたままです。

(60代男性・喫茶店の店主)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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