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「当時は練習場まで往復7時間」元サッカー日本女子代表・宮間あやさん【女の子のサッカー】を当たり前に!

  • 2026.9.12
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VERY世代が子どもだった頃に比べて、サッカーを楽しむ女の子の姿が身近になってきました。一方で、成長に伴い女の子がプレーできるチームが少なくなるなど、「サッカーが好き」という気持ちだけでは続けることが難しいケースも。

「私には、サッカーを辞めるという考え自体がなかったんです」と話すのは、元サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)の宮間あやさん(41)。宮間さんがサッカーを始めた頃は、今以上に女性がサッカーを続けるための選択肢が限られていました。それでも大好きなサッカーを続けてきた自身の経験を振り返りながら、今の女の子たちが“好き”を諦めずに続けられる環境、そしてそのために大人ができることを伺いました。

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――まず宮間さんご自身は、どんなきっかけからサッカーを始めたのでしょうか?

私が小学1年生のときに、もともとサッカーをしていた父が地元の千葉にサッカークラブを立ち上げたことがきっかけでした。当時は男の子が12、3人いる中に女の子が1、2人いるような環境で、中学2年生までの8年間、男の子と一緒にプレーしていました。父は、スパルタでもなければスポ根でもない、当時にしては珍しい放任タイプの指導者で、私ものびのびプレーしていました。

小学6年生のとき。高倉麻子さん(元なでしこジャパン監督)や、澤穂希さんたちと。(写真:本人提供)
アメリカ遠征。(写真:本人提供)
幼少期の宮間さん。サッカーを始めたのは小学1年生のとき。(写真:本人提供)

――男子と一緒にプレーすることで、困ったことはありましたか?

正直、私自身はあまりなかったんです。サッカーのことばかり考えていたから、男女の違いに気づくのにも時間がかかって。着替える場所に困るとか、合宿に行った際に、寝る部屋をチームに新しくひとつ取ってもらわなきゃいけないなど、今思えば、当時は感じていないだけで壁はたくさんあったんじゃないかと思います。

 

――女の子の場合、小学校でサッカーをしていても中学生以降、プレーできるチームが減り、続けられなくなる“12歳の壁”があります。宮間さんがサッカーを続けられたのはなぜですか?

私には、サッカーを辞めるという考え自体がなかったんです。小さい頃からサッカーがやりたくて仕方がなかったので、中学生の時、一緒にプレーしていた先輩メンバーが卒業してしまいチームがなくなってしまったときも「どうしたら続けられるだろう」と周りに相談して女子チームである読売メニーナ(現・日テレ・東京ヴェルディメニーナ)へ入りました。ただ、家から練習場までは電車とバスで3時間半、つまり往復7時間。無理して通っていたので、限界が来て、高校生の時にそのチームを退団することになってしまいました。

一方で、中学生の頃、一緒にプレーしていた女性の先輩が高校へ進学するタイミングで、サッカーとはまったく別の進路を選んだことがありました。理由を聞いたら、「サッカーをやっていても仕事にならないから、仕事につながる高校に行く」と。当時はワールドカップで優勝した先輩がいたわけでもないですし、女性がサッカーを職業にするという未来もなかなか描けなかった。とても上手い方だっただけに「もったいない。これからも一緒にやりたいのに」と思いましたが、人の人生ってこうやって分岐していくんだ、と初めて感じた出来事でもありました。

 

女子チームは増えてほしい、でもミックスプレーの選択肢もあっていい!

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――現在は「WEリーグ」という女子のプロリーグも誕生するなど、宮間さんが子どもだった頃に比べると、女性がサッカーを続ける選択肢は増えているかと思います。そんななか、サッカーをする、支えるという視点から「もっとこうなったらいいな」と思うことはありますか?

まずは小学生を中心とするU-12からU-20まで、各年代で女性だけのチームがもう少し増えたらいいなと思います。一方で、男子との違いを知る意味でも、男女で一緒にプレーすることは大事だと思っているので、ときにはミックスでプレーできる道も残してほしいですね。世界に出たときには自分より体格の大きな選手と戦っていくわけですが、ミックスプレーは小柄な選手がどう自分の良さを出していくのかを学べる最初の機会になるとも思います。

 

環境面では、更衣室も街中のトイレと同じように、男子用と女子用があるのが当たり前になってほしい。女性のレフェリーも増えていますから、レフェリー用の更衣室も必要ですし、女性の選手のことを理解してサポートしてくれる同性の指導者がいることも大切だと思います。

加えて、屋根のある人工芝がもっと増えたらいいなと思っています。屋根付きの人工芝でフットサルをやって、そこからサッカーに移行したり。そんな行き来があってもいいと思うんです。特に女性にとっては日焼けはハードルになりますし、男女問わず小さい子は熱中症も怖いので、室内でやる選択肢は増えてほしいです。

 

子どもの選択肢を増やすためにも、大人が決めすぎないことが大事

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――子どもがサッカーやスポーツに興味を持ったとき、親や周囲の大人はどんなふうに関われば良いでしょうか?

私は、大人には子どものことを先回りして決めてほしくないんです。まずは子どもがどうしたいのかを自分で考えさせて、そのうえでやりたい、と決めたならやらせてあげる。自分で考えて決断したことで責任を持つし、その時点で選択肢も増えているのではないかと私は思います。

 

でも、自分で決めてやってみたけど、「やっぱり無理だ」となることもありますよね。私たちの世代だと、それに対して「自分で決めたんだから最後までやりなさい」と言われることも多かったですが、「いやいや、最後までできないから相談しているんじゃん」って思います(笑)。だから、今のママやパパには、「そっか。じゃあ、また次を考えよう」と、ほかの選択肢があることを教えてあげてほしいです。やってみないとわからないこともたくさんあるから、大人側が少し余裕を持って、子どもの可能性を狭めないであげてほしいと思います。

 

サッカーとの関わり方だって、プレーすることだけではありません。支える仕事もあれば、サポーターとして試合という空間を一緒に作ることもできる。いろいろな関わり方があるので、まずは可能な範囲で触れる機会を作ってもらえたらうれしいですね。

●プロフィール

宮間あや(みやま あや)

1985年生まれ、千葉県出身。元サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)。2011年FIFA女子ワールドカップでは全6試合に出場し、日本代表初の世界一に貢献。2012年ロンドン五輪では銀メダルを獲得した。2016年に現役を引退。現在は日本サッカー協会(JFA)女子委員会副委員長を務めるなど、女子サッカーの普及・発展に取り組んでいる。

撮影/前 千菜美〈光文社写真室〉 取材・文/松倉和華子

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