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工事区間で鉢合わせも「自分が優先なのに相手が譲らない」元教習所指導員の見解は

  • 2026.10.7
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

片側1車線の道路を走っていると、工事などによって一方の車線が塞がれ、片側交互通行になっていることがあります。誘導員や信号機が設置されていれば指示に従うことができますが、そうではない場所では、どちらが先に進めばよいのか迷うこともあるでしょう。

特に、規制されている側の車が対向車線にはみ出して走行する場所で、双方から車が進入して鉢合わせになってしまったら、「どちらが譲るべき?」「こちらが優先なら、相手が下がるまで待っていてもいい?」と戸惑う人もいるかもしれません。

では、工事によって一方の車線が塞がれている場合、双方のドライバーはどのように通行するのが適切なのでしょうか。車線規制時の基本的な通行方法や、安全に通過するためのポイントについて、元教習所指導員のちだてつしさんに詳しく解説していただきました。

工事で片側の車線が通れない…「どちらが譲る」が正解?

---片側1車線の道路で工事によって一方の車線が塞がれており、規制されている側の車が対向車線側にはみ出して通行する必要があり、誘導員等が不在の場合、どちらの車が優先されるのでしょうか?

ちだてつしさん:

「この場合、どちらが優先されるかを明確に定めた条文は、道路交通法上ありません。ただし、安全運転の観点から、学科教習では次の3点を基本として教えています。

1.障害物のある側の車が一時停止し、障害物のない側の対向車を先に通す
2.坂道では、上り坂の車を優先する
3.ガードレールなどがない崖道では、上り下りに関係なく崖側の車が停止する

工事区間で片側車線が塞がれている場合、その車線を走る側が『障害物がある側』にあたります。対向車の通行を妨げないよう、いったん停止して待つのが基本です。逆に、『障害物のない側』を走る車は、対向車がはみ出してくる可能性を踏まえつつも、優先的に通行してよいとされています。

坂道では、上り坂のほうが発進しにくいため上り車を優先します(ただし、近くに待避所がある場合は上り車であっても待避所に入って譲ります)。崖道も危険をともなうため、崖側が停止して先に通すのが原則です。

工事現場では原則として、道路使用許可の条件に基づき「交互通行用信号機」や誘導員が配置されます。しかし、小規模な作業や時間帯などによって不在のケースもゼロではありません。誘導員や信号がある場合は、その指示に従ってください。ただし、誘導員も判断を誤ることがあります。赤信号に気づかないまま進入してくる車もいるため、どのような状況でも絶対とはいえません。油断せず、周囲の安全確認を続けることが大切です。

こうした不確実性を踏まえ、教習では『譲り合い』の精神を重視しています。法律上の優先権の有無にかかわらず、状況によっては相手を先に通してあげましょう。何より、安全を最優先に考えることが求められます」

「こちらが優先なのに…」相手が譲らず進んできたらどうする?

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画像:TRILL作成

---工事による車線規制区間で双方の車が鉢合わせになり、自分が車①の立場で、相手(車②)が道を譲らずに前進してきた場合、どのように対応するのが安全でしょうか?

ちだてつしさん:

「このとき最優先すべきは、権利の主張ではなく、事故を避けることです。『自分が正しい』という思いから無理に前進すれば、正面衝突のリスクが一気に高まります。

まず行うべきは、早めの減速と停止です。相手の動きをよく観察し、双方が同時に進み続ける状況をつくらないようにしましょう。停止したうえで対向車の様子を確認してください。向こうに後退する意思が見られないなら、こちらからバックするのが賢明です。優先だからといって、意地を張るのは得策ではありません。また、後退が難しい場所もあるため、走行中から路肩など待避できるスペースを確認しておきましょう。

パッシングは避けたほうが無難です。『止まって』『進んで』の両方の意味に取られる可能性があり、相手を混乱させかねません。合図が誤解されると、かえって危険な状況を招いてしまいます。

クラクションを執拗に鳴らしたり、窓を開けて言い合いをしたりする行為は禁物です。感情的なやり取りは、トラブルに発展する恐れがあります。何より重視すべきは、その場を安全にやり過ごすことです。

もし相手の運転や行為に危険を感じた場合は、ドライブレコーダーの映像が状況を客観的に示す記録になります。無理に対抗せず、記録を残しながら安全な対応に徹してください。法律上の優先権よりも、目の前の安全を優先する姿勢が求められます」

誘導員がいないときは?工事区間が見えたら「まず減速」を

---工事による車線規制が見えてきた際、ドライバーはどのような点に注意して運転すればよいのでしょうか?

ちだてつしさん:

「工事の看板やバリケード、カラーコーンが見えたら、まず速度を落とすことを心がけましょう。事前に周囲の様子をよく確認しておくと、落ち着いて対応できます。特に見通しの悪いカーブや坂道の手前では、より慎重な速度調整が必要です。

規制区間に近づいたら、対向車の有無や車列の状況を早めに確認してください。車線のはみ出しを伴う場合は、無理に進入せず、一度速度を落として様子を見ることが大切です。必要であれば、規制区間の手前で一時停止しましょう。

夜間や雨天時は視界が悪く、対向車もこちらを発見しにくくなります。通常よりも早めの判断を心がけてください。

誘導員や信号機がない場合、判断の基準になるのは基本ルールです。障害物のある側が停止し、対向車を先に通すのが原則です。坂道であれば上り優先、崖であれば崖側が停止するという考え方も参考になります。

それでも判断がつきにくい場面はあるでしょう。そうした場合は、すでに規制区間へ進入している車を優先させてください。まだ入っていない側が待つほうが、事故のリスクを抑えられます。大型車が相手であれば、なおさら気をつけたいところです。

迷ったときは、無理に進もうとせず、いったん停止して様子をうかがってください。最終的に大切なのは、安全に通過できるかどうかです。『譲り合いの精神』で、ぶつからない防衛運転を目指しましょう」

「自分が優先」と思っても、無理に進まないことが大切

工事などで一方の車線が塞がれている場合、安全運転の観点では、障害物のある側が停止し、障害物のない側を先に通すのが基本とのことです。ただし、道路状況によっては坂道や崖道など、別の点にも注意する必要があります。

また、自分が優先的に通行できる状況であっても、対向車が譲らずに進んできた場合に「こちらが正しい」と前進し続けるのは危険です。まずは減速・停止し、必要であれば自分から後退するなど、事故を避けることを最優先に考えましょう。

工事区間では、誘導員や信号機がある場合も、周囲の安全確認を続けることが大切です。どちらが先に進むべきか判断に迷ったときは無理に進入せず、すでに規制区間へ入っている車の状況などを確認しながら、安全に通過できるタイミングを見極めましょう。


監修者:ちだてつし

自動車教習所の指導員・技能検定員として、23年間にわたり現場で安全運転の指導・検定を担当。現在はその専門知識と現場での実務経験を活かし、安全運転やドライブテクニックに関するWebライターとして活動中。また、ペーパードライバーや外免切り替えの事業を展開し、運転に自信のないライダーを対象に、実践的なツーリングを通して運転技術を身につける「日本ツーリングサポート協会」を設立・運営。「安全で楽しいカー&バイクライフ」を伝える発信を行っている。日本二輪車普及安全協会の二輪安全運転指導員として活躍中。


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