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鈴木福、人気ミュージカル出演に「誰かと比べるような意識はしない」 “自分らしさ”探す心境語る

  • 2026.9.9
鈴木福 クランクイン! 写真:篠塚ようこ width=
鈴木福 クランクイン! 写真:篠塚ようこ

1990年代のニューヨークを舞台に、貧困や病などに直面しながらも懸命に生きる若者たちの姿を描いたミュージカル『RENT』。ブロードウェイで誕生し、日本でも何度も再演されている人気作に、鈴木福が出演することが決定した。鈴木はどのような心境でこの傑作に飛び込んでいくのか。話を聞いた。

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■“初演マーク”山本耕史に「自分が演じるマークを見せたい」

――名作ミュージカル『RENT』で映像作家を志す青年・マークを演じられることになりました。ご出演にあたり、どのような思いでいらっしゃいますか。

鈴木:『RENT』という作品自体はもちろん知っていましたし、日本版初演でマークを演じられていた山本耕史さんとは個人的にもすごく仲良くさせていただいているので、作品や役に対する思いは以前から聞いていたんです。今回「オーディションを受けてみないか」とお話をいただいた時に、何か縁のようなものを感じました。受けるからには、耕史さんに「自分が演じるマークを見せたい」という思いがあったので、すごく熱が入りましたね。

僕自身もこの業界で表現者として生きていくことを決めた中で、環境は違っていてもマークたちが目指しているところと近いものを感じています。『RENT』という作品に携われること、歴史あるシアタークリエという場所で、マークという重要な役を演じられることを、すごくうれしく思っています。

――オーディションを経て、マークを演じられることが決まった際に、周囲の反応はいかがでしたか?

鈴木:何より耕史さんに報告できたのがうれしくて、電話で「いい報告があるんです」と伝えたら「何、彼女でもできた?」なんて返されたりもして(笑)。マーク役に決まったことをすごく喜んでくれました。

また、以前ロジャー役を演じられていた中村倫也さんとも、中村さんの奥様と番組で共演していた関係で仲良くさせていただいているんですが、「何か聞きたいことがあったら言ってね」と声をかけていただいたりしました。このほかにも、これまで舞台でお世話になった共演者やスタッフの皆さんからも「ここまで来たんだね」、「楽しみにしてるよ」と連絡をいただいたりして……。作品の注目度が高いからこそ、周りからの反響が大きくて、すごくうれしかったです。

――ご家族に報告された時の反応はどうでしたか?

鈴木:伝えた時は、家族はみんなすごくびっくりしていました。妹たちは僕が舞台に立っているところを観ることを、今からすごく楽しみにしてくれています。

実は僕が、家で『RENT』の曲を歌いすぎていて(笑)。オーディションの曲とかは、妹たちはもう半分くらい覚えちゃっているんです。映画版を家で一緒に観たり、僕がいない時にも妹たちが観ていたりして、僕とはまた違う形でみんな『RENT』に影響を受けているみたいですね。

今年の年始に韓国で『RENT』を家族で見ようとしたら、一番下の妹は小学5年生だったので、年齢制限で観られなくて。ずっと劇場の外で聴こえてくる音を聴いて楽しんでいたみたいです。普段からYouTubeでブロードウェイ版や映画版の映像を観たり、家でミミの曲を歌っていたりするので、そのうち僕が妹からアドバイスされちゃうかもしれませんね(笑)。

■先輩とは比べない 目指すのは「僕らしいマーク」

――ご家族も作品に魅了されているんですね(笑)。演じられるマークという青年をどのようにとらえていらっしゃいますか。

鈴木:マークは、現状にはもちろん満足できていないし、もどかしさを抱えていながらも、やりたいことに向かって一生懸命突き進み、そんな状況すら楽しんでいるようなキャラクターだと感じています。僕自身もこの業界に生きる人間として、彼らの目指す場所や「ボヘミアン」という自由な生き方、表現者としての姿勢には、環境こそ違いますが、とても通じるものを感じています。

世の中に対するたくさんの思いや熱量をぶつけていく姿は単純にかっこいいですね。僕自身にとっても、普段は表に出さないようにしている感情や、ちょっと蓋をしているような思いなどを、この役を通して解放できるんじゃないかと感じています。自分と向き合いながら演じることで、絶対に共鳴するものが生まれる予感がしますね。

――マークをどのように演じたいですか。

鈴木:ここまで感情やトゲのある表現をガッツリとするような役は、初めてに近いかもしれません。海外で生まれて日本でも繰り返し上演されている歴史ある作品の役を受け継ぐというのも初めての経験なので、稽古を通して自分がどう変化していくのか、自分自身でもすごく楽しみです。

これまで演じてこられた先輩方とどう比べようとも、僕が演じる以上は「僕のマーク」になるはず。なので、誰かと比べるような意識は、特にしていません。それよりも、『RENT』という作品にしっかりと愛とリスペクトを持ち、その思いを自分の中で膨らませて向き合っていくことが何より大切だと思っています。歴史を受け継ぐ自覚をしっかり持ちながらも、精いっぱい楽しんで僕らしいマークを作っていきたいです。
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――ミュージカル作品としての歌や楽曲の魅力については、どのように感じていらっしゃいますか。

鈴木:『RENT』には素敵な音楽がたくさん詰まっていますし、世の中に対する憤りや熱量をここまでむき出しに表現している作品はあまりないんじゃないでしょうか。日本語版の台本を読んで改めて思ったのですが、言葉を選ばずにストレートに届いてくる強さがあって。それが人間らしさとして、心に刺さるような気がしています。それに、多種多様なジャンルの楽曲が並んでいるのに、作品としては美しくまとまっているのも本当にすごいところですね。

歌稽古は、もう難しいことばかりです。これまでは比較的ストレートな楽曲を練習してきたのですが、セリフの延長線上にメロディーがあるような、語りっぽい曲に挑むようになってからは、言葉をしっかり立てながら複雑なメロディーに乗せる難しさを実感しています。セリフと歌の切り替えを自然に見せつつ、キャラクターとしての声の使いどころを探っていくのは本当に難しい。“切り替えていないようで切り替える”感覚、セリフと歌が気持ちよくつながるような場所を探している感じです。

でも、この曲たちをステージの上で歌っている自分を想像すると、ワクワクした気持ちで胸がいっぱいになります。難しさに頭を悩ませつつも、楽しみながら準備を進めていきたいです。

■『RENT』舞台の街を歩いて感じた“感覚”

――本作に臨むにあたってインプットしたことや、作品に活かせるような経験はありますか?

鈴木:昨年、お仕事でニューヨークに行く機会があって、その時にブロードウェイの空気感や作品のカルチャーに直接触れられたのはすごく大きかったです。『RENT』の舞台になったイースト・ヴィレッジの雰囲気や、そこで暮らす人たちの熱量を現地で体感できたことは、これから役を作っていく上でも良いインプットになっているなと感じています。

ニューヨークは華やかなタイムズスクエアのような場所だけでなく、一本裏通りに入ったら路上で寝ているような人がいて、ディープでリアルな部分も目にしてきました。『RENT』の世界観のベースにあるような、あの雰囲気を肌で感じられたのは、すごく大きかったです。気付いたのは、ずっと後になってからですけど。訪れたときはごく普通に街を歩いていただけでしたが、マーク役が決まって、改めて振り返った時に「あ、あの感覚がこの世界観そのものだったんだ」と、気付きました。意図せずに、すでに自分の中に作品につながる素材を持っていたんだな、と思いました。

もちろん当時の時代背景などはまだまだインプットが必要です。例えばエイズについても、医療状況や知識は現在とは違いますし、当時は死の病として恐れられたり、差別や恐怖が大きく渦巻いていたんじゃないかと思います。そこはもっと勉強して、理解して向き合わなければと思っています。僕自身はその時代を直接知っているわけではないので、稽古でキャストの皆さんや演出家の方と話し合いながら、自分の中にある実感と一緒に深めていきたいです。

『RENT』はキャスト同士の密なコミュニケーションや熱量がそのまま舞台のエネルギーになる作品だと思うので、稽古を通して仲間たちとしっかり信頼関係を築いて、熱い稽古場にしていきたいです。
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――公演を楽しみにしているみなさんにメッセージをお願いします。

鈴木:『RENT』という歴史あるすばらしい作品でマーク役を演じさせていただけること、本当に光栄ですし、僕自身いまからワクワクしています。作品が持っている圧倒的なエネルギーや熱量、そして音楽の素晴らしさを、客席の皆さんにしっかり届けられるよう、カンパニーの皆さんと一緒に全力で稽古に励んでいきたいと思っています。

言葉一つひとつ、一瞬一瞬を大切にしながら、僕ならではのマークを作っていきますので、ぜひ劇場でその空気感を体感していただけたらうれしいです。楽しみにしていてください!

(取材・文:宮崎新之 写真:篠塚ようこ)

ミュージカル『RENT』は10月15日から11月13日まで東京・シアタークリエ、11月20日・21日に広島・呉信用金庫ホール、11月26日から29日まで福岡・博多座、12月4日から6日まで愛知・愛知県芸術劇場大ホール、12月11日から14日まで大阪・SkyシアターMBSにて上演。

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